「あ、あの……」
ドアを閉めた玲くんは、あたしを担いだまま机の上に腰掛けた。
そして膝の間に、あたしを後ろ向きに座らせると、
「!?」
脇の下から手を伸し、うしろからぎゅっと抱きしめてきた。
突然の熱い温もりに、あたしの心臓が驚いたように早く打ち付ける。
「れ、玲くん?」
身動きすら許さない、強引な抱擁。
目の横でさわさわと揺れるのは、玲くんの髪の毛。
耳に感じるのは、玲くんの熱い吐息。
「……のに…」
何かが漏れ聞こえた。
「我慢してるのに…」
そして、玲くんの頭と手が動いたかと思った時、
「!?」
持ち上げられた髪の下、熱いものが首筋にあてられて。
音をたてて、強く肌を吸われていく。
「……っ!!」
そこから火傷しそうな灼熱が体に拡がっていき、思わず声を漏らしてしまう。
「君は…僕のものだ」
今度は、濡れた熱いもので舐め上げられる。
ぞくぞくした感触に、あたしは崩れ落ちそうになり、思わず玲くんのスカートを握りしめた。
痺れるような感覚に、口から出るのは、
「あ……っ…」
まるで桜ちゃんのような声だけで。
それが何だか恥ずかしくて、いやいやと首を振って抵抗したけれど、玲くんはやめない。
「意識するのは…僕だけにして」
耳元に囁くような声。
甘い声音の中に…微かに感じるのは怒り。
「浮気は許さない」
言葉が終わると同時に、首に痛みが走る。
思わず涙目となり、短い悲鳴を上げてしまう。
「れ、玲く…あたし、浮気は…」
「許さない」
そして体が持ち上がり、くるりと向きを変えられた。
玲くんの真っ正面に。
乱れた前髪から覗くのは、静かに怒りを湛えた鳶色の瞳。
格好は女子高生なのに、その顔は…真剣な男の顔で。
冗談ではすまないような、そんな危険性を秘めていて。
「君の恋人は…僕だろう?」
苛立たしげに、更にその瞳が細められた。
「それなのに…僕の前で、堂々と浮気なんてね…。僕以外の奴に…男を感じて、体に触れさせるなんてね…」
「ちょ…待って!! あたし別に浮気は…」
「僕…、笑って許すとでも思ってた?」
待て待て待て!!!
剣呑な会話の流れに、あたしから汗がたらたら流れる。
どうして"浮気説"が浮上するの!?
あたし、玲くんの目の前に居たじゃないか!!
浮気って、一体誰とのこと!?

