シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

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奇天烈怪奇な情報屋。

"約束の地(カナン)"から脱出する時には、黒いシルクハットはなかったはずなのに、何でこの喫茶店に来る時は、シルクハット被ってやがる?

更に、模様替えした半纏(はんてん)!!!


何で黒地の半纏に、オレンジワンコが沢山よ!!!


しかも何で頭に赤いパンツ被った、あの変態ワンコよ!!?


ムカムカムカ…。


「な、なんやワンワンはん…!! ひと仕事終えて来たばかりのお疲れ様のひーちゃんに、何怒ってますのや!! もうちょい、労(いたわ)りの心っちゅうもんを…」


「誰が"ひーちゃん"だ!!! アホハットお前、ちょいと裏世界知ってるからって、俺を馬鹿にしてるんだろ!!!」


「何でやねん!!!」


「じゃあ何だよその半纏は!!!」


「ああ、これでっか? これは有名なデザイナーがデザインした1点もの。中々着心地ええんですわ」


そう言いながら、マスターが運んできた珈琲をのほほんと飲み始めた。


「着心地感想を聞いてるわけじゃねえ!!! 何でその柄なんだよ!!!」

「柄? この柄、お気に召さないんか?」


大げさな程の"哀しい"表情をするアホハット。


「判りましたわ。じゃあ裏にしときま」


そう脱いだ半纏を反対側にして。


「きっとワンワン柄の方が、皆はん和んでええかと思ったんやけど…じゃあ本来のリバーシブルの表側に…」


そして目に飛び込んで来たのは…


真っ青な色。



そして飛び散る――


"あはははは~"


の立体的な文字。


あっちもこっちも、小さくなったり大きくなったり、横向いたり斜めになったり。



"あはははは~"

"あはははは~"



胡散臭さの大合唱。


「知っとりまっか? アレス=イオア。斬新すぎるデザインで今一番人気のデザイナーなんですわ」


他にいるのか?


――あははははは~。


青と胡散臭い笑いを好む…芸術家。



本気(マジ)にいるのか!!?

斬新なデザインか、これ!!!?

俺の美意識おかしいのか!!?