「ふふふ、トラックと丁度いい距離になってきたね。さすがは由香ちゃん」
濡れた視界を見れば…遠くに離れて居たトラックが、結構近い距離にあったことに気づいた。
「それに伴って浮いている銃と…銃弾数が多くなってきている。随分と多く乗り込んでいたんだ? この見えない敵はどの敵なんだろうね。まあいい。クオン、準備はいいか?」
「ニャアンッッ!!!」
「いい返事!!
防御壁(シールド)を…解く!!!」
この銃弾を止めていたのは、玲くんなんだ。
いつのまにこんなことも出来るようになったんだろう。
そして銃弾が小刻みに動きを見せた時、
「クオン此処は任せたッッッ!!!」
「ニャアアアアン!!!」
足元のクオンが…火を吹いた。
いやまあ…炎を使えるネコなのは知っていたけれど、口からゴオオオオというのは凄いもので。
異様だ。
ふさふさネコなのに。
美形でうっとりしちゃうくらいのネコなのに。
炎は…銃弾を溶かしたんだ。
あたし達に行き着く前に。
言うなれば炎の結界という奴か。
何処までも化け猫街道まっしぐら。
本人は至って気にもしていないだろうけれど。
超音波の影響はないらしい。
だけどクオンはいつものように機敏な動きを見せない。
やはりまだ、動くのは辛いのか。
だったら。
クオンが動けないなら、あたしがクオンの身体になればいい。
あたしにはあんな敏捷性はないけれど、それでも移動は出来るから。
あたしはクオンをまた両腕の中に入れると、
「とりゃああああ!! 火炎放射ネコだあああ!!!」
クオンの炎を振りまいた。
何だろう気持ちいい。
快感だ。
気づけば玲くんがいない。
玲くんは――
「ぬを!!? いつの間に!!?」
トラックの上に移動して、銃を片っ端からもぎ取るようにして奪い、1人演舞している。
何処までも優雅な舞のような体術を魅せてくれる玲くん。
紅皇サンに稽古をつけられて、雄々しい空気を併せ持ったけれど。
………。
1人しか見えないのは、ちょっと恥ずかしいかもね。
なんて、真剣に戦ってくれている玲くんには絶対言わないけれど。

