そんな時――。
閉めたはずのドアがコンコンコンと3回ノックされて、俺達は訝しげに顔を見合わせた。
そして外から聞こえるのは――
「まだトイレから出てこんのか~?」
間抜けたアホハットの声。
何してんだ…あいつ?
「ああ、今紙がなくなってしまって、出るに出られないんだ」
そう答えたのは、ドア越しに移動してきたマスターで。
「ええ!!? はよせんか!! 漏れたらどないすんや!!!」
…おい。
「紙やな、紙。じゃあ…そこの隙間から紙入れたるさかい…」
まさか…。
予想通り…ドアからすっと差込まれたのは万札。
それを確認したマスターは、ドアを開いて、
「いらっしゃいませ、聖さん」
それまでの会話など何もなかったかのように、平然と頭を下げた。
「おおきに、マスター」
アホハットは、すました顔で店内に入ってくる。
俺達は…いや、小猿は。
呑み込んだココアを口端からだらだらと零し、櫂は…カップを口元に近づけたまま止っていて。
「がははははは!!! あれが合図か!!!」
1人クマだけが笑っていた。
「待たせたな、皆はん」
俺は――
「お前、俺達馬鹿にしてんのか!!!」
アホハットに怒鳴った。

