「煌、離れろ!!! 睦月は"酸化"させる力を持つ!! 触れられたら"老化"するぞ!!!?」
「あ!!!?」
「先刻、湖からあがったあのミイラと同じになるぞ!!!」
「冗談じゃねえッッ!!!」
煌が逃げるように空高く舞う。
「逃がすか~ッッ!!」
それでも食らいついてくる睦月の運動能力は半端なく、速さも跳躍力も、あの煌と同等の力すら見せてきて。
「やめよ、睦月!!!!」
煌の髪に手が伸びる寸前。
夢路の声にて、睦月は舌打ちしてくるりと回りながら地面に降り立った。
「煌!!!」
追って地面に足をつけた煌は、驚いた顔をしていて。
「あいつ…突然何よ!!?」
「もし髪に触れられてたら、お前の髪…今度は白くなってたかも知れん」
「白!!? オレンジの次、俺…白!!?」
夢路は言った。
「睦月は……半陰陽、即ち…両性具有だ」
両性具有…。
即ち1つの身体に、男と女の肉体的特徴が見られる身体のこと。
女性を強調した胸をしていたのは、それを隠す為だったのか。
或いは…"心"は女だと主張していたのか判らないけれど。
1つ判ることと言えば――
ああ…睦月もまた"表"から弾かれた人間なんだ。
それは両性具有故か、力故か判らないけれど。
「性のことで可愛い"孫娘"を追い詰めないで欲しい」
皆…肉体だけではない、心に傷を負っている者達であり、そしてそこにもきちんとした"愛情"が通っているということを、俺は再認識せざるをえなかった。

