だからこそ、それを打開すべく俺は此処に来た。
破壊から再生されるものこそが、俺の目指すもの。
そこに逆転のチャンスを見出すとすれば。
そこにこの者達との調和を見出すとすれば。
変えることが出来ねば、潰さねばならないだろう。
紫堂という家を。
俺は…翠と同じ決意の上に立つ必要がある。
しかし今の情けない立場に居る俺では、それを口にした処で、"机上の空論"だと笑われるだけの気がした。
どうすれば信用を得られる?
どうすれば紫堂ではなく、"俺"としての言葉を信じて貰える?
暴力によって虐げられ続けてきた者達に、力の制圧は無効だ。
力の使い途はそうではない。
強さとは、そういう顕示に使うものではない。
それなら"表"の迫害と同じ事。
彼らは、俺の覚悟を"死"で見せろと言う。
少し前の俺なら、受容していたかもしれない。
それで皆が救われるのならと。
しかし"死"は逃げだ。
死からは…何も生まれない。
"無"だ。
俺は、久遠の存在に全てを賭けて、横須賀で一度死んだ。
あの時の覚悟が無駄だったとは思わないし、あれしか道はなかった。
俺は未来に賭けたんだ。
もしも生き返らせる者がいなかったら、どうなってた?
問題は解決したか?
いや…しない。
今度は残された仲間が犠牲になるだけだ。
問題は延々と巡り続けるだけ。
そう、生き返ることが前提の"死"でしか、未来は変えられない。
それは当然の事象。
それは俺が一度死んだからこそ判ったことで。
その当然さを知る前は、"死"は自己満足的な美談にしか過ぎず。
死ぬことは根本的な問題解決ではなく、大切なのはその後のこと。
未来を紡ぐために安易に死を選ぶのは、あまりにも無責任な本末転倒のこと。
この者達が俺の未来を捨てよというのなら。
だとすれば…
俺は覚悟を"死"で表わせない。
未来あってこその…改革だ。

