「あわわわわわ、神崎!!! 早くこっちへ!! こっちは師匠がいる!!!」
真紅色の惨劇図。
S.S.Aでも切り抜けた芹霞。
何の因果で幾度も危険の中に放られるのか判らないけれど、今は彼女の運の強さを信じたい。
来い、僕の元に。
芹霞はこちらに向かって、まっしぐらに駆けてくる。
由香ちゃんは力一杯拳でドアを叩く。
「この硝子割れない!! 皹すら入らない。神崎、神崎!!!」
ドンドンドンドン。
芹霞は僕達に向けて走ってくる。
僕達の間にある、もどかしいこの硝子のドア。
もう黙って…見てられない。
「由香ちゃん、外気功で壊す」
自警団が束で来ても蹴散らしてやる。
石灰(コンクリート)をも砕ける外気功ならば、強化硝子くらい難なく破壊出来るだろう。
僕は硝子に掌をつけて…
「はっ!!!」
瞬間的に気を外に爆発させる。
だけど――
「!!!?」
硝子は…壊れない。
僕の力による衝撃を全て吸収してしまったんだ。
外気功が…効かない!!?
そんな時、芹霞がこちらに来て、硝子を挟んだ向こう側から、ドアを叩いたりこじ開けたりし始めた。
「芹霞、芹霞!!!?」
何度も名前を呼べど、芹霞と視線が合わない。
僕は此処に居る。
目の前に居るというのに。
――!!!
「目が合った!!! 芹霞、芹……」
しかし芹霞は――
「「………」」
突如狂ったとしか思えない不可解な動きをしたかと思えば、僕に向けて中指を突き立てて、ふいと横を向いてしまったんだ。
………。
「師匠、神崎は――
師匠やボクが見えてないんだ」
そう思いたい。
僕だと判って中指突き立てられたら、正直凹む。
ドンドンドン。
僕達が叩く音すら耳に入っていないのか。
そして、硝子越し…追いついた黄色い蝶が芹霞の逃げ場を奪う。
「危ないッッッ!!!」
僕は意識を集中させ、0と1のコード変換を超速で行う。
外気功が駄目なら、電気の力に頼るしかないんだ。

