シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「ふぬぬぬぬ。小癪な…我がこんな瘴気如き、消せぬとは…」

「無理すんな、小小々猿!! 体が小せえから、お前が思ったより力が出ねえのかもしれないぞ」

「ならば大きなワンコ殿は…"この程度で"思った以上の力なのか」

「……。お前、何気に無礼な奴だな!!!」

「ワンコは馬鹿だから力がないだけさ!! ゴボウ、体の大きさは関係ない。力はね、高邁な精神に比例するんだ!!!」


そうレイが声高らかに叫んだ時だった。


瘴気が蠢き、1つに纏まり始めたのは。


言うなれば――

気体が固形化するように、形を現わし始めたんだ。



「「「!!!!?」」」



感覚の対象物が、視覚の対象物へと――

変貌を遂げていく。


そして輪郭を浮き彫りにさせる。



あれは――



「「「蚕(かいこ)!!!?」」」



此処でも現われるのか。

蛆を模した、巨大な蚕。


半透明の乳白色。

窄んだ両側先端がぴくぴく動いている。


その中に、何かが入っていて…びくんびくん蠢(うごめ)いている。

それはどの場所で目にしても、変わらぬ光景だった。


その数は…10、20のものではない。

大群だ。


「あれは…三尸!!!」


強張った翠の…いや、護法童子の声が響く。

三尸といえば…朱貴が以前遠坂の口から奇妙なものを取出したことを思い出す。

陰陽道に関わる人間でも式神でも、三尸というものは邪なもので、見過ごすことが出来ない存在らしい。

護法童子が、怒りにも似た…挑戦的なオーラを纏ったように思えた。

悪鬼を退散させる…それが護法童子の本来の性なのかも知れない。


そして――


「ぬぬぬ、三尸は悉(ことごと)く…我の力に滅せよ!!」


バリバリバリ…。


しかしその雷撃は――


「なに!!? 吸収された!!?」


蚕に綺麗に吸い込まれていき、更に膨らんだ蚕の胎動が早くなった気がする。


「「なにやってんだ、ゴボウ!!」」


続いてレイと煌が力で攻撃しても結果は同じことだった。


蚕には力が通用しない。

それは俺の経験してきた記憶と同じ。

この蚕は"力"を吸収していることは間違いなく、膨らみきった腹は…今にも破裂しそうだ。


破裂したら――

何が出て来るんだ?