「ぬおおおおおお!!!」
ドドドドド…。
猛突する猪が如く、ぶつかる人を力一杯弾き飛ばしながら…一直線のルート確保。
そしてクオンが前方で左に曲がったのを見た時、あたしは内心にやりとした。
そっちは行き止まりのはずだ。
袋のネコ!!!
「終わりだ、覚悟しろッッ!!!!」
そして速度を緩めず90度、左に曲がった時だった。
「ニャアアアアアン…」
宙に飛ぶ…クオンを見たのは。
しかも何で…こっち向き?
そして――
「クオン!!!!? 傷!!!?」
胴体であるカバンに…真新しい裂傷が3本斜めについていたんだ。
まるでネコより獰猛な、大きな動物の爪痕のようなものをカバンたる胴体につけて…、何かからか宙に放り出されたかのように、あたしに向って飛行していた。
クオンが左に折れ曲がり、あたしが追いつくまでに10秒もかかっていない。
さらに前方には壁しかないというのに、何で傷があるの!!?
敵の姿など、ないじゃないか!!!
またもや無様な"ひらき"で飛んで来たクオンを、両手でキャッチしたあたしは、クオンの顔をぽんぽん叩くが…息はかろうじてあるのは確認出来たものの、意識はないようで…気絶しているらしい。
壁にぶちあたったのならば、爪痕などつくはずはない。
クオンに何が起きた!!!?
「………?」
そんな時だったんだ。
ひらひら…。
視界の中に、ふわふわと動く黄色を見た気がしたのは。
ざわり。
――瘴気が…強まった。どこからだ?
背筋に悪寒が駆け上ってくる。
いまだ流れ続けるZodiacの曲。
警戒を強めていた玲くん。
どうか…。
どうかお願い。
「……!!?」
黄色い蝶が舞っているのは、気のせいだと…誰か言って。
そう、全ては幻影。
あたしの不安が見せる…妄想だと。
「!!!!!」
違う!!!
幻影じゃない!!!
ひらひら、ひらひら。
建物内に狂い舞うは…
忌まわしき黄色。
蝶だ。
あの蝶だ!!!
どうして、今…
こんな処に!!!?

