小猿が出した小小々猿は、どでかい技を繰り出して…確かめたかった敵を、一瞬のうちに消してしまった。
気持ち的には…、最後に謎を残されて、何ともすっきりとしねえ"消化不良"だったけれど、それでも、これだけは認めてやろう。
この金ピカ小小々猿が小猿の力に召喚されたものだとしたら、小猿はそんなものを使役出来る力を秘めているということだ。
俺達は、小猿の力に救われたということに。
「すげえよ、見直したぜ小猿」
俺は破顔して、わしゃわしゃと小猿の髪を掻き回して感動を伝えた。
「護法童子…か。右手に宝剣、左手に羂索…さしずめ『信貴山縁起絵巻』に出て来る…剣鎧(けんがい)護法童子という処か。しかし…あの敵は…」
俺が理解しにくい…呪文のような言葉を唱えた後、深く考え込んだのを見れば、多分"鉤爪"と敵の"3本足"の意味を考えているんだろうと思う。
怪物(クリーチャー)に、陽斗の鉤爪?
裏世界には…何が居るんだ?
遊戯(ゲーム)ではない、裏世界に。
「やめろよ!! 雷は僕の専売特許なんだぞ!!! 真似するなよ!!!」
「汝は電気。我は雷。模倣などとは片腹痛い」
「腹が痛いなら、病院いけよ!!! だから~ッッ!!! 此処は僕の巣なんだよ!!!」
「違う。此処は我の拠点だ。汝こそ出て行け」
威厳もなく…阿呆タレリスと本気で喧嘩する小小々猿。
小猿は申し訳なさそうに俺を見ている。
小猿が制御不可能な小小々猿。
「汝出て行かぬなら、龍の餌にしてやろうぞ?」
「ふうん? やれるもんならやってみろよ。僕は強くて賢い、リスの王子様なんだぞ!!?」
「我は護法童子。我は鬼神。汝など敵にもならぬわ!!」
「あったま来た~!!! 汚いゴボウのくせに~!!」
………。
俺はすうっと大きく息を吸い込むと――
「うるせえ~!!!!
お前ら共に、俺の頭から出てけ~ッッ!!!」
俺は大声で怒鳴った。
ワル相手の恫喝なら負けはしねえ。
押し鎮まった空気に、ふんと鼻を鳴らせば、櫂が苦笑している。
その流れで見た小猿は…白目を剥いて俺を見ていたから、俺はぎょっとした。
「どうした、小猿!!! 別にお前に怒鳴ったわけじゃ…」
「あ、大丈夫だから、先…進めてて?」
一度は黒目が戻ったけれど、また白目に逆戻り。
小猿よ、どうした!!?
そこまで俺、怖がらせたか?
「翠は多分…」
櫂は言葉を中断し、俺の頭を見て…にやりと笑う。
「翠の、ハジメテの頑張りに期待しよう」
ハジメテ?
だから、何が!!?
白目を剥いて頑張るって何よ!!!?

