シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



小猿が出した小小々猿は、どでかい技を繰り出して…確かめたかった敵を、一瞬のうちに消してしまった。

気持ち的には…、最後に謎を残されて、何ともすっきりとしねえ"消化不良"だったけれど、それでも、これだけは認めてやろう。

この金ピカ小小々猿が小猿の力に召喚されたものだとしたら、小猿はそんなものを使役出来る力を秘めているということだ。

俺達は、小猿の力に救われたということに。


「すげえよ、見直したぜ小猿」


俺は破顔して、わしゃわしゃと小猿の髪を掻き回して感動を伝えた。


「護法童子…か。右手に宝剣、左手に羂索…さしずめ『信貴山縁起絵巻』に出て来る…剣鎧(けんがい)護法童子という処か。しかし…あの敵は…」


俺が理解しにくい…呪文のような言葉を唱えた後、深く考え込んだのを見れば、多分"鉤爪"と敵の"3本足"の意味を考えているんだろうと思う。


怪物(クリーチャー)に、陽斗の鉤爪?

裏世界には…何が居るんだ?


遊戯(ゲーム)ではない、裏世界に。


「やめろよ!! 雷は僕の専売特許なんだぞ!!! 真似するなよ!!!」

「汝は電気。我は雷。模倣などとは片腹痛い」

「腹が痛いなら、病院いけよ!!! だから~ッッ!!! 此処は僕の巣なんだよ!!!」

「違う。此処は我の拠点だ。汝こそ出て行け」


威厳もなく…阿呆タレリスと本気で喧嘩する小小々猿。

小猿は申し訳なさそうに俺を見ている。


小猿が制御不可能な小小々猿。


「汝出て行かぬなら、龍の餌にしてやろうぞ?」

「ふうん? やれるもんならやってみろよ。僕は強くて賢い、リスの王子様なんだぞ!!?」

「我は護法童子。我は鬼神。汝など敵にもならぬわ!!」

「あったま来た~!!! 汚いゴボウのくせに~!!」


………。

俺はすうっと大きく息を吸い込むと――



「うるせえ~!!!!

お前ら共に、俺の頭から出てけ~ッッ!!!」



俺は大声で怒鳴った。


ワル相手の恫喝なら負けはしねえ。

押し鎮まった空気に、ふんと鼻を鳴らせば、櫂が苦笑している。

その流れで見た小猿は…白目を剥いて俺を見ていたから、俺はぎょっとした。


「どうした、小猿!!! 別にお前に怒鳴ったわけじゃ…」

「あ、大丈夫だから、先…進めてて?」


一度は黒目が戻ったけれど、また白目に逆戻り。

小猿よ、どうした!!?

そこまで俺、怖がらせたか?


「翠は多分…」


櫂は言葉を中断し、俺の頭を見て…にやりと笑う。


「翠の、ハジメテの頑張りに期待しよう」


ハジメテ?

だから、何が!!?

白目を剥いて頑張るって何よ!!!?