シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「別にそんな展開望んでいた訳じゃないし、それより先にすべきことはあるの、十分過ぎる程よくよく判っているんだけどさ…、先にそう言われてしまうとさ…なんかこう、切ないんだよね。僕はこれから何処に向かって行けばいいんだろう……みたいな、途方に暮れた気分なんだよね…」


ぼすぼす、ぼすぼす。


「今までの経験は役に立たないし。第一僕…求めずとも勝手に求められて、流されるままだったから、そういうの…深く考えてこなかったんだ…」


ぼすぼす、ぼすぼす。


「間違いなく純愛なんだよ? まあ…罰だと忍べば良いんだけれど…なんかこう、ほら…"お預け"されている気分で。"待て"ほどの、待てば確実にありつける未来が目の前に見えてこないというか…。僕…煌の遠戚になりたくなかったのに…」


「犬、ですか…?」


僕は顔を上げた。


「違うよ!!! 僕はやたらめったら発情してないんだよ!!!」


そうむくれると、桜は腑に落ちないというような顔で首を傾げた。


ぼすぼす…、


「何だか…全力投球で盛れる煌が、羨ましい気にもなってきてさ…」

「はあ…」


「僕さ――…」


ぼすぼす、ぼすぼす。


「凄く、不器用みたいだ」


そして俯いた。


「大丈夫かな…。僕、櫂の攻撃凌げるかなあ…」


本気の櫂に立ち向かうためには、本気で相手しよう。


そう思えど――

僕も案外ヘタレで。


我が身が哀しくなる。


「玲様…」


桜が、目をくりくりさせながら僕に声をかけた。


「桜は、恋愛事情はよく判りませんが…先刻までの妙に思い詰められお顔が強張っていたのが、改善されたようで…安心しました」


強張っていた?


「そんな顔してたの、僕」


「…そのように見えました。肩に力が入りすぎているというか…。それでいて儚げで消え入りそうで…。今なら…少し安心出来ます…。芹霞さんの…力なんですね」


桜は…悔しそうにも見える、複雑な笑いを浮かべた。


「ねえ桜。今更なんだけれど…いいのかな、僕…芹霞と…恋人やっていて」


僕は天井を見上げた。