シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

「目線はここから、まっすぐ。ガチガチになるな、もっと両手でゆったり構えて。ここでロック解除、トリガー引く時に銃身ぶれさすなよ。撃ち終わった時の衝撃が身体に返るから、後ろに飛ばされねえように気をつけろ」

「扱いは…さすがワンワンはんや。紅皇は銃までワンワンはんに教えてたんかいな」


煌の元に一歩踏み出した情報屋。

煌はそちらに振り向きもせず、翠の姿勢を安定させながら何とも無げに言う。


「まあ…な。櫂の護衛してれば、銃で狙われること多いし、銃のことを熟知してねえと駄目だからって仕組みから撃ち方やら訓練させられたわ。精密機械は爆発するのに、不思議に銃は爆発しねえしよ。銃は機械じゃねえのか? まあいいや。そうだ確か、紫堂の警護団も銃扱うから…桜も扱えるはずだよな」


頷く俺に、翠は飛び跳ねた。


「葉山、銃も扱えるの!!!?」

「ああ。団長だし。まあ…あいつは糸があるから、銃の出番は今までねえけどよ」

「葉山…なんて凄いんだ。俺…葉山守れるくらい強くならないと…」


カチカチカチ…。

気の昂ぶりか、銃が怖いのか。


歯をかち合わせながら銃を握る翠は、心なしか及び腰で…、手はぶるぶると震えていたけれど。


「櫂、お前はどうだ? 説明いるか?」

「いや…大体は判る。あとは慣れの問題だ」

「ふふふ、頼もしいなあ、櫂はん」


俺は薄く笑う情報屋を見た。


「アホハット、銃弾に予備はないのか?」

「ありまへん」

「3発使い切ったら終わりかよ!!?」

「……終わりにするかどうかは、皆はんの"知恵"にかかっとりま」


どこまでも含んだ言葉遣いで。

3発使い切っても、終わらない方法があるとでも言いたげに。




「ねえ、僕のは?」



煌の頭から飛び降りたレイが、片手を情報屋に出していた。


「皆と一緒の…僕のクルクルの銃は?」


急かすように、ぴょんぴょん飛び跳ねている。


「頂戴、僕のクルクル銃!!!」


想像してみた。


少し…ハードボイルドなリスの銃撃戦。

リスが手にしているのは…自分の体長より大きい銃。


………。


ありえない、そんな図。

どうやって銃を支えてトリガーを引くんだ?

撃った瞬間、吹き飛ぶぞ?


「おお、そうや。レイはんには…」


情報屋がポケットから取出したのは――


「狙撃銃(スナイパーライフル)。何で…遠坂の武器が此処に在るよ?」


いつの間にか翠とこちらを向く、唖然としたような煌の声。


「しかも――その大きさで」


小さい、小さい…俺の小指もない長さ。