そして俺は素早く深呼吸をすると、クマと情報屋に振り返る。
「1つ…俺の矜持の為に聞きたい。"大方"とは…どの部分の推理が足りなかった?」
するとクマは笑った。
「お前さんが…口にしてない部分」
………。
俺が…判らなかった部分のことか?
「まあ…いいだろう。裏世界の所在。そして夢世界での、"心"のゲーム。そして情報屋の前職。その最低ラインだけでも判ったのなら、とりあえずは…あの人も納得するだろう」
「あの人…?」
「ああ。これより俺は、お前さん達をその人に連れて行く。何分裏世界は物騒だ。心の最下層に、触れさせまいとする…人間の防御本能の本体が攻めてくる。言わば…戦争状態だ。戦火を潜り抜ける覚悟は出来ているか?」
俺は煌と翠を顔を見合わせ、そして…
「勿論だよッッ!!!!」
俺達より早く答えたのは、レイで。
黙れ…。
黙っていてくれ。
そう思ったのは、俺だけではないだろう。
しかしレイに反応したのは煌で。
「あ!!!? おい、チビ!!! お前も裏世界に行く気なのか!!!?」
煌が驚いて、また頭上から目の前に指で摘み上げた。
「当然だろ? そんな物騒な処なら、僕がいないと大変じゃないか。何だよその目は。僕は力持ちで頭がいいってこと…証明しただろ!!? そして僕は、最後の問題だってちゃんとやり抜けたじゃないか!!」
それは…あの帽子を被ってボタンを押したことだろう。
「おい。お前がやったのはピコン帽子を「僕が護ってやるよ」
小さな手で、胸をバンと叩いたレイ。
しかし俺達は、何とも微妙な顔つきで顔を見合わせて。
正直…俺達ですら無事でいられる保障がないのなら、小リスくらい…安全な此の場に残していきたかった。
遊びではないのだから。
だけど――
「僕を……置いて行くなよ」
その声は、何処までも俺の従兄の声音で。
「いつも僕達…一緒だったろ? なあ…櫂」
俺は…そのくりくりとした瞳の中に、鳶色を見た気がしたんだ。

