「ひーちゃんの役目は裏世界への案内。クマの役目は裏世界内の案内。この先の世界に進んでいいかどうかの決定権はクマに譲りま」
「別に譲ってもらわんでも…」
「いやいや。こういう役目はクマにやって貰わなあかん。男っぷりを上げたらええ。ひーちゃんは時と場所と場合を弁(わきま)え、傍観者に徹しま」
「お前さん、今まで良いだけ出張って、こんな中途半端な処で引くなって!! 俺…そこまでの権限はないということ知ってるだろう? これはお前さんの個人情報開示の是否。それに答えられるのはお前さんだろうに!!」
「クマだって大まかは瀬良はんから聞いてるんやろから……」
そんな大人2人のやりとりに、煌はイライラを始めたようで。
「良いか悪いかぐらい即答出来るだろ!!他人事のように、責任押し付け合うなよ、"おっさん'S"!!!」
「「おっさん!!?」」
煌の言葉に目の色変えた情報屋とクマ。
俺は慌てて煌の口を後ろから塞いで、ずるずると、おっ…いや年上の男性陣の元から引き剥がした。
「ねえ櫂」
煌の頭上から、レイが可愛くこちらを見ている。
何だか嫌な予感がした…。
「"おっさん"っていうのは、年寄りのことだよね? クマから流れたのはおならじゃなくて、"かれいしゅう"?」
………!!!
何で俺に振る…?
しかもそんなに可愛く、無邪気に首を傾げて。
俺の返答を待つかのように、大きなふさふさな尻尾を揺らして…何を期待しているんだ?
お前は…今まで散々"頭がいい"を豪語してきただろう?
俺に…聞かないでくれよ。
頼む…。
玲のように聡く、空気を読んでくれ。
「「加齢臭!!?」」
憤然とした二重奏を背にして、俺は煌の口から手を離して、その頭上へと手を伸ばし、こちらを見ているレイの…爆弾発言ばかり繰り返す小さな口を指の腹で押さえ、引き摺り下ろす。
「何す…ふ~……っ!!……っっ!!」
ぱたぱた、ぱたぱた。
浮いた2つの小さな足が、宙を忙しく駆ける。
「か、カレーのことだよ。このチビ…カレーライスが好きなんだよ、きっと」
翠がしどろもどろになりながらフォローを入れるが、じとっとした2組の…痛い目線が向けられて。
「どないする、クマ。資格なしということで、追い返すか?」
「ん…。折角俺は、"大方"正解ということで、裏世界へGOサイン出そうとしていたんだが…。悩みどころだな…」
「「「!!!!」」」
俺と煌と翠は互いに顔を見合わせた。
「これは"罰則(ペナルティ)"として、リーダーたる櫂はんに責任とって貰い、あの帽子を被り続けて貰うとか…」
!!!!!!!

