「こんなのも五皇なのか…。久涅は最悪だし、緋狭姉と氷皇はああだし。裏表無く、終始それなりの威厳を見せたのは、白皇だけじゃねえか」
煌がそう呟けば。
「何やワンワンはん。ひーちゃん…威厳も落ち着きもないよう聞こえるがな。ひーちゃんの品位は世界い「そういうの言うからワンコが噛み付くんだぞ?」
またもや脱線しそうな情報屋のひと言を制したのは、翠で。
「喋りすぎ。大げさ過ぎ。男はもっと黙って、余裕で構えてろ」
やけに落ち着いて、翠が窘(たしな)める。
何だか、翠が凄く大人のように思える。
黙していた間の成長が著しい。
そんな翠に同調し、補佐したのは――
「そうそう。僕みたいに、どーんと男らしく構えないとね」
カリカリカリカリ…。
…レイの言葉には、誰も何も応えなかった。
「五皇が何者かは知らないけど、俺の知る限りでの一番の偉大なる人物は兄上だ。俺の兄上は…紫堂…玲みたいな優しげな雰囲気を持ち、親しみやすかった。もう少し落ち着けば、転職したお前の将来も…少しは明るくなるさ」
五皇がどういうものか判っていない翠は、情報屋の肩をぽんぽん叩く。
「そうそう。そこの猿が崇める僕みたいに、優しげな雰囲気を持ち、親しみやすければ…お前の将来も拓けるさ。僕より偉大になることは出来ないだろうけれど、せいぜい近づけるように頑張れば?」
カリカリカリカリ…。
"れい"違い。
そう誰もが思えど、やはり誰も応答しない。
あえてスルーする気らしい。
それでもレイは気にすることなく、胡桃を囓る手をやめない。
俺は1つ溜息をついて、煌を呼んだ。
「いいか、進んでも」
また釈然としていないらしい煌は、俺をじっと見て何か言いたげだったけれど、揺らがない俺の顔を見て、渋々といったように頷いて片手を上げた。
「つーことで、元緑皇…いいや、もうアホハットで。緋狭姉と同じ烙印見たら、疑いようねえし。だったら結局、櫂の答えは全て正解だな? 俺の主は、ピコン帽子を被らず進んで行けるんだよな?」
………!!!
そうだった。
間違ったら、屈辱の…あの帽子を被る事になっていたんだ。
被りたくない。
あれを被った姿を、想像したくもない。
俺は本能的危機感から、睨み付けるように情報屋を見た。
すると少し怯えた表情を見せた情報屋は、そのまま逃げるようにクマを見た。
「クマ、ワンワンはんが聞いとりま。はよ答えたってや」
クマは――
「え!!? 俺に決定権があるのか!!?」
大げさにも思えるのけぞりを見せた。

