シンデレラに玻璃の星冠をⅢ




「玲くん…。ミコさんとの子供…」


芹霞は真っ直ぐに僕の顔を見た。


「玲くんは…そういうこと…するの?」


僅かに見せた表情は…"不快"。


「子供出来るようなこと」


嫉妬という明確な形でなくてもそれは、芹霞にとっては見過ごせない…そんなささくれだった感情であるように僕には思えて。

例えそれが、第三者的な一般的な感情であったとしても、


"あたしと言う恋人がいても"


そんな言葉で終結するのがしっくりくるような…"女"というものの心を見せられた気がしたんだ。


いつもいつも芹霞は言いたいことを呑み込んで、おかしな方向に思い込む。


だとしたら――。


僕にその心の内を見せようとしてくれることを、

その前向きな変化を、


「……したくない」


僕は誤魔化して曖昧にしてはいけない。

僕だって、僕の決意を…僕の真情を返すんだ。


僕達には…今まで会話がなさすぎて、すれ違いがありすぎた。

僕はあんなに…"お試し"を本物にしたいと芹霞に訴えて、愛の表明を言葉や行動で示していたのに、僕と久遠が…櫂を取り合っている三角関係の図が、芹霞の頭に展開されていたなんて…もう驚きを通り越して泣きたかった。


「したくないに決まっているじゃないか。

僕は…芹霞を裏切らない」


笑みすら浮かべず、ひたすら真剣に。

僕は視線に…真情を乗せた。


「僕は人に強制されても、他の女に手を出すような軽い男じゃないし、僕は…君に、芹霞に真剣なんだ」


これから…僕と当主との戦いが始まる。

それは免れない問題だ。


だからこそ――


「僕はそういうことはしない。

したいとも思わないし、絶対しない。

それははっきりと誓える」


芹霞には信じていて欲しい。

絶対に。


僕の抗いを、この決意を。


信じて貰うことが、今の僕の力になるんだ。