「いやん、櫂はんのえっちぃ~」
………。
「ひーちゃんをひん剥いて、どないするつもりや? 櫂はんが、ワンワン好きなのはよう判りま。けどひーちゃんは、"オレンジワンワン"ではないさかいに」
………。
「櫂はんがそっちに目覚められるとは意外やけれど、その櫂はんを満足出来る身体かどうか…ご検分願いまひょ」
………。
「何ぶつくさ言ってるんだよ、アホハット。そのクセお前…喜んで服脱ぐなよ。下はいいって、下はいらねえ!!! おい、力こぶ見せて、何筋肉自慢してるんだよ」
「どやどや? ひーちゃんの身体は凄いやろ~」
………。
「そんな程度かよ。それだったら俺だって負けねえぞ? ふんッッ!! どうだ?」
「すげえワンコ!!! 袖が弾き飛んだ!!! おお、すげえ~筋肉隆々!! "漢(オトコ)"!!! 俺なんか…ふんッッ!!」
「おお、お前も痩せているのに…結構あるじゃねえか。ん…? 今頭上から…"ふんッッ"が聞こえたけど、まさか…」
「凄いぞこのチビ!!! 毛むくじゃらの腕が、ぽこっと盛り上がった!!!」
………。
「リスに…筋肉!!? おい、俺の目の前でもう一回、"ふんッッ!!"をしてみろ」
「よくよくその目で見るといい。僕の…"ふんッッ!!"」
………。
「……チビ。お前…今何をした?」
「え? だから"ふんッッ!!"」
「………。ワンコ…。くさっ……」
「………。俺じゃねえって。おい、チビ。お前まさか、"ふんッッ!!"で……」
「悪い悪い俺が屁をこいた。がはははは」
「どうして僕が"糞"をしないといけないのさ、酷いや!!! おならでも同じ、僕はスカンクじゃないよ!! あの臭い奴と同じにするなよ!! 僕は毎日のようにお風呂に入って、このふさふさな毛並みを綺麗にしているんだ!! いい匂いするトリートメントだって、使っているんだ!!!
僕は…リスの王子様なんだぞ!!!?」
………。
「………。痛々しいな…。玲でも自分のことを"王子様"なんて言わねえぞ」
「だけど紫堂玲は、言わないだけで心で思っている気もするなあ。だけどナルシストともちょっと違うんだよな」
「ああ、あいつはちやほやされてきたから、それを普通だとみなしているフシがある。だからあいつは、厄介な確信犯だって言うんだよ。しかも…姫は芹霞限定で公言するし、芹霞だって昔から、玲のことを"白い王子様"なんて真顔で言うんだぜ? だから絶対図に乗って…」
俺は言った。
「もう…そろそろいいか?」
悪臭漂う中で、途方に暮れた心地で。

