シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



そう考えれば、縛る意図がよく見えてこない。

どうして背中に印を刻み込んでまで、後の五皇まで縛る必要があったのか。


"傷"という意味以上に、何を縛っていたのか。


――"慈悲の赤"はかなりの恩義を感じている。全てを捨てても、"黄"の約束だけは履行しようとするだろう。


どうして、今この時期が…"履行"?


聞きたいことは山にある。


だけど――


「お口チャーーーーッック!!」


見越しているのだろう、情報屋は。


だからこうして、笑いを湛えたような冷ややかな眼差しで、俺を見ているんだ。


そこまでが、元緑皇の"譲歩"ということか。

判らないものは、自分で調べろと言うことか。

むしろ…そのことを調べろといいたいのか。


裏世界、で。



ただ――

1つ、懸念はある。


俺は情報屋が緑皇だと確信している。

それに対して、"元"緑皇だと情報屋は言った。


それに…安心していいのか。


何よりこの情報屋は、口が達者だ。

その上情報通でもある。


そしてどことなく氷皇に似ている部分がある。


氷皇を物真似して、緑皇のようになりすましているのではという懸念。


緋狭さんは、五皇を色で呼ぶ。

その緋狭さんは、情報屋を色で呼んでいなかった。


その理由は、単純に五皇職を退いたからなのか。

或いは…元々五皇ではない為なのか。


目で判る物的証拠が欲しい。


そんな俺の思考が伝染したかのように、煌が情報屋をじろじろ眺めては、胡乱げな眼差しで呟いている。


「五皇…ねえ? さっきは…ちらっとそう思えないこともないかもなあなんて思ったけどよ、やっぱ…気のせいのような気もしてきた。アホハット、訂正するなら今の内だぞ? 嘘ついてたら本家本元に狙われるぞ?」


情報屋が標準語の口調となり、特異な威圧感を放った時。

煌も…只者ではないと納得していたはずだ。


それでも、俺達は…五皇の力の限界というものを見ていないから、それ以上のものを情報屋が秘めているように…今の彼からは想像出来ないんだ。