いつもの軽い仮面をつけ、幾分すっきりとした顔つきになっていながらも、垣間見せる視線は…俺の動向を見逃さないというような鋭さを秘めている。
あれだけ笑い転げて、リスの指揮する通りに歌を歌っていながらも、五皇としての最低限の強さは消していない。
そう考えてしまうのは、情報屋が標準語を話したときの威圧感が身体に刻み込まれたからなのか、それともわざと情報屋が、五皇の名残を見せつけているからなのか、見定める事は出来ないけれど。
「嬉しゅうて、ついぺらぺらと余計なことまで話してしもうたわ~」
"テヘペロ"
そう付け加えて、こつんと指で頭を叩いて舌を出した時は、俺だけではなく…煌も翠も顔を歪ませたけれど。
「だからひーちゃん、もうお口チャーーーック!!」
その言い方は、氷皇のものと酷似している。
今回、緋狭さんも氷皇も…いつも以上に情報開示をしていない。
それは、五皇のルールというものに縛られているのが理由だと思っていた。
それをぺらぺら、"元"五皇が話すことは奇妙だ。
考えられるのは――
重要の部分を抜かしたから、話したのか。
五皇職を離れたから話したのか。
その両方なのか。
だけど俺は感じている。
情報屋の話は完璧ではない。
肝心な部分は故意的に伝えられていないんだ。
例えば、前黄皇の縛りが、前五皇だけではなく現五皇にも及んでいる点。
代替わりした五皇が、仮にその縛りを引き継ぐことは可能だとしても、だとすれば…縛りから逃れる為には、現五皇も代替わりすればいいだけのことで。
――五皇は…抗うつもりはない。
抗することが出来ねば逃げる…そんな方法もあるはず。
代替わりしたのなら尚更、自分に関係ない…前代五皇の因縁を、何故後代が甘んじねばならないのか。
何故恩義を感じねばならないのか。
それが奇妙すぎるんだ。
黄皇が五皇の待遇を改善したとして、黄皇は誰にどういう方法でどんなことをしたのか。
元老院や藤姫が、ただの懇願で言うことを聞くとは思えない。
彼らは、苦しむ顔を愉悦としているんだ。
当然、愉悦の1つを失うとなれば、見返りの提示を求めるはずで。
例えば、8年前…俺にチャンスを与えるために、緋狭さんが片腕を切り落としたような。
"自律"の黄皇は…何をしたのだろうか。
それによって、他五皇が縛られるようなこととは一体?

