本物の玲がこれを見たら、笑い転げそうだ。
――ブレーメンの音楽隊かよ?
玲自身、優しげで大人しそうな姿態とは裏腹に、例えば女装をしたらとことんそれを楽しむくらい、ノリがいい奴だから…案外、すました顔をしてとんでもないことをしでかすレイも、玲本人の流れを汲んでいるのかもしれない。
玲は紛れもない人間の男で、このレイはどうみても鳶色の毛をしたリスだけれど、声が同じということからか、妙に玲の影がちらついている。
レイが笑えば、玲が笑っている気がして。
レイが玲と無関係には思えないんだ。
リンクされて繋がっているように思えて。
玲……。
お前は今、笑えているか?
甘いと言われようが、例え恋敵とはいえ…玲は俺の従兄。
親や義兄とは、比べ物にならないくらいの…信頼感は消えないんだ。
血の成せる業…というより心の結びつきによって。
俺の為に…全てを無くした玲。
その玲の手元にあるのは芹霞。
玲が手に入れた…俺の想い人。
俺が…溺愛する女。
――あたしは玲くんが好きです…。
イマレイトナニヲシテイル?
白い身体と身体。
抱き合う2人の姿が思い浮かんで、俺は思わず唇を噛みしめ…意志の力で脳裏から追い出した。
辛い。
この妄想は…辛すぎる。
非現実的とは言い切れないから。
ホントウナラ
――あたしは紫堂櫂を…。
イマゴロオレト…。
「………っ!!」
思い出すな。
俺は再スタートを切ったばかり。
今は思い出す時じゃない。
そして――
思い出に留まらせない。
俺を選ばせてやる。
また。
何度も何度も。
俺は…諦めるものか。
このままこの想い、朽ち果ててたまるか。
「さてと、櫂はん」
俺の名前を呼ばれて、俯き気味だった顔を上げた。
妙にすっきりとした顔の情報屋。
クマは毛に覆われて詳細は判らない。
煌も翠もやはり爽快感漂う顔つきになっている処を見れば、合唱したことが余程気持ちよかったのだろうか。
レイは…煌の頭の上で、忙しく胡桃を囓り始めたようだ。
「ひーちゃんを、"元"緑皇だと見抜いた、櫂はんの眼力は恐れ入りましたわ~。噂通りのお方や~」
脱線した話が戻るのか。
元五皇ではなく、
情報屋の…姿で。

