シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



本物の玲がこれを見たら、笑い転げそうだ。


――ブレーメンの音楽隊かよ?


玲自身、優しげで大人しそうな姿態とは裏腹に、例えば女装をしたらとことんそれを楽しむくらい、ノリがいい奴だから…案外、すました顔をしてとんでもないことをしでかすレイも、玲本人の流れを汲んでいるのかもしれない。


玲は紛れもない人間の男で、このレイはどうみても鳶色の毛をしたリスだけれど、声が同じということからか、妙に玲の影がちらついている。


レイが笑えば、玲が笑っている気がして。


レイが玲と無関係には思えないんだ。

リンクされて繋がっているように思えて。



玲……。


お前は今、笑えているか?


甘いと言われようが、例え恋敵とはいえ…玲は俺の従兄。

親や義兄とは、比べ物にならないくらいの…信頼感は消えないんだ。


血の成せる業…というより心の結びつきによって。


俺の為に…全てを無くした玲。

その玲の手元にあるのは芹霞。


玲が手に入れた…俺の想い人。

俺が…溺愛する女。



――あたしは玲くんが好きです…。


イマレイトナニヲシテイル?


白い身体と身体。

抱き合う2人の姿が思い浮かんで、俺は思わず唇を噛みしめ…意志の力で脳裏から追い出した。


辛い。

この妄想は…辛すぎる。

非現実的とは言い切れないから。


ホントウナラ


――あたしは紫堂櫂を…。


イマゴロオレト…。


「………っ!!」


思い出すな。

俺は再スタートを切ったばかり。


今は思い出す時じゃない。


そして――

思い出に留まらせない。


俺を選ばせてやる。


また。


何度も何度も。

俺は…諦めるものか。


このままこの想い、朽ち果ててたまるか。



「さてと、櫂はん」




俺の名前を呼ばれて、俯き気味だった顔を上げた。


妙にすっきりとした顔の情報屋。

クマは毛に覆われて詳細は判らない。


煌も翠もやはり爽快感漂う顔つきになっている処を見れば、合唱したことが余程気持ちよかったのだろうか。

レイは…煌の頭の上で、忙しく胡桃を囓り始めたようだ。


「ひーちゃんを、"元"緑皇だと見抜いた、櫂はんの眼力は恐れ入りましたわ~。噂通りのお方や~」


脱線した話が戻るのか。


元五皇ではなく、

情報屋の…姿で。