それは僕と結婚したいという意思表示などでは当然なく。
妙に強張った顔からは強い意思が見え隠れしていて。
興味という類のものではなく、もっと…よからぬものだということを暗に悟る。
芹霞は――
「あたし…聞いてたの。S.S.Aで…煌や桜ちゃんとの会話」
知ってたのか?
僕が、不条理な結婚話を押し付けられていたことに。
「その人と…結婚するの?」
焦るでもなく取り乱すでもなく。
あくまで淡々と。
その口振りから…芹霞は僕と、この結婚話を前提とした…終焉のある恋人関係を了承していたんじゃないかと思い至る。
冗談じゃない。
――あたしと櫂は、恋愛なんかみたいに終りが見えるような薄い関係じゃないわ!!!
僕は…終わらせてもいいの?
それは流石にショックで。
今まで気分が高揚していただけに、ちょっとからかおうとしてしまったが為に、そのカウンターは羞恥プレイ以上の大ダメージで。
「桜が会っているのはそういう女性じゃない。それに僕は、言われるままに結婚する気は全くないし…第一、それは言い出した当主が壊したから。君も聞いていただろう? "約束の地(カナン)"で」
――もう…耳に届いていると思うが、お前と皇城の娘との婚姻はなくなった。
「玲くん。子供って…何?」
僕の身体が、反射的に動揺を示した。
――だが、巫女と子は成して貰うぞ。
それは…僕がこれから何とかしないといけない、避けて通れぬ問題だったから。
僕と芹霞の…障害になるべき関門だった。

