………。
こんなオチですか…?
あたしのドキドキはどこにやればいいですか?
………。
随分と…ぐっすりお休みですね、玲くん。
………。
ああ…身体を丸めて眠るクセ、ここで出しちゃいますか。
あたしのスカートの下の足を挟んで、そんなに密着しちゃいますか。
あたし…鼻血出しちゃいますよ?
硬直したあたしはまな板の鯉。
下着越しとはいえ…際どいトコロに、玲くんの吐息。
離したくても離れない…玲くんの腕の力。
「芹霞……」
胸きゅんする王子様の寝顔に、喘ぐように名前を呼ぶのは反則ですから。
紫堂でいつも一緒に寝ていた時は、こんなにドキドキしなかったのに。
傷を舐め合うようにして眠っていたから。
がっしりとした肩幅。
腹筋まで割れている白い身体。
男らしい喉仏。
女のカガミであっても玲くんは男。
どこまでも男のクセに、何で玲くん"男"に拘るんだろう。
――心臓が…落ち着いて、君が女として僕を欲してくれたら…その時に頂戴ね?
ねえ…玲くんならいいって思ったのは、女の気持ちじゃないのかな。
このドキドキは…何なのかな。
玲くんにくっついていたいと思うのは、一体何?
――…ちゃあああん!!!
ずきん。
――ぎゃははははは。
心臓が少し苦しく思ったけれど、玲くんとこうやってくっついていれば治まる気がする。
「好き…だよ?」
好きなのに、不安になるのは何故?
どうすれば、自信が持てるんだろうね。
玲くんのように輝きたいな。
玲くんの寝顔は何だかあどけない。
縋るようにあたしにくっつく姿は、まるで子供のよう。
ぎゅっと抱きとめたら、玲くんは少し声を漏らした後…嬉しそうに顔を綻ばせた。
安心感に満ちたような、柔らかな表情。
願わくば――
それは目覚めている時にも続きますように。
「ふふふふ。おやすみ」
玲くんは頑張っている。
共に走ることだけが彼女ではない。
玲くんをこうして包むことも、守ることだと…あたしは玲くんの頭を抱きしめるようにして、一緒に目を閉じた。

