シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



………。


こんなオチですか…?

あたしのドキドキはどこにやればいいですか?


………。


随分と…ぐっすりお休みですね、玲くん。


………。

ああ…身体を丸めて眠るクセ、ここで出しちゃいますか。

あたしのスカートの下の足を挟んで、そんなに密着しちゃいますか。


あたし…鼻血出しちゃいますよ?


硬直したあたしはまな板の鯉。

下着越しとはいえ…際どいトコロに、玲くんの吐息。

離したくても離れない…玲くんの腕の力。


「芹霞……」


胸きゅんする王子様の寝顔に、喘ぐように名前を呼ぶのは反則ですから。

紫堂でいつも一緒に寝ていた時は、こんなにドキドキしなかったのに。

傷を舐め合うようにして眠っていたから。


がっしりとした肩幅。

腹筋まで割れている白い身体。

男らしい喉仏。


女のカガミであっても玲くんは男。

どこまでも男のクセに、何で玲くん"男"に拘るんだろう。


――心臓が…落ち着いて、君が女として僕を欲してくれたら…その時に頂戴ね?


ねえ…玲くんならいいって思ったのは、女の気持ちじゃないのかな。

このドキドキは…何なのかな。

玲くんにくっついていたいと思うのは、一体何?


――…ちゃあああん!!!


ずきん。


――ぎゃははははは。


心臓が少し苦しく思ったけれど、玲くんとこうやってくっついていれば治まる気がする。


「好き…だよ?」


好きなのに、不安になるのは何故?

どうすれば、自信が持てるんだろうね。


玲くんのように輝きたいな。


玲くんの寝顔は何だかあどけない。

縋るようにあたしにくっつく姿は、まるで子供のよう。

ぎゅっと抱きとめたら、玲くんは少し声を漏らした後…嬉しそうに顔を綻ばせた。


安心感に満ちたような、柔らかな表情。


願わくば――

それは目覚めている時にも続きますように。



「ふふふふ。おやすみ」


玲くんは頑張っている。

共に走ることだけが彼女ではない。

玲くんをこうして包むことも、守ることだと…あたしは玲くんの頭を抱きしめるようにして、一緒に目を閉じた。