――よし、そのまま。そのまま維持してみろ!!!
無我夢中だった。
0と1がどうの…そんなものを力として変換するよりまず先に、僕の心が力を作った瞬間。
怒濤のように0と1が流れ込んできて。
循環する。
僕の力が0と1を生み、生まれた力が0と1となる。
そこには、異質な虚数など何もなく。
純なる二進法の世界が拡がって。
0と1が僕の想いと重なり同化していく。
僕の想いで拡がった世界は、
まるで疑似電脳世界。
僕が創造した小世界。
力を放出し終えた僕は、初めてのその感覚に、呆けたように床に座り込んだ。
一種の…陶酔したようなトランス状態。
――いい処だろう。ただ自惚れるな。お前は創造主ではない。神になるな。
僕は頷き、肩で荒い息を繰り返す。
――今は12時。そろそろ氷皇の結界が消える時間。力の稽古はこんなものだろう。
それから体術の稽古に入ったんだ。
――お前の筋肉は何の為についている!!! 飾りか!!? 気を巡らせて、細胞を目覚めさせろ!! 眠らせるな!!!
緋狭さんの稽古よりきつかった。
何でもそれなりにこなしてきた僕にとって、罵倒され叩きのめされるのは気持ちいいモノではないけれど。
そうされているのは、僕が日々の鍛錬をしていなかったからのこと。
煌を思えば、可愛いモノなんだろう。
朱貴の指摘は鋭く的確で、反論の余地すらない。
強くなりたい。
強くなりたい。
それだけを願いながら、僕は必死に朱貴に食らいつく。
――玲、諦めるな。
僕の何処かで緋狭さんの声を感じて。
朱貴は強すぎた。
僕が思っていた以上に、何もかにもが強靱で。
全力の僕の攻撃を難なく躱したり、弾いたり。
僕が汗でぐっしょりと濡れた服を脱いでも、朱貴は涼しい顔をして白衣だけを脱ぐだけで、咥え煙草で相手をする余裕もまである。
その差に、僕は歯を食いしばる。
氷皇の目は決して節穴ではなかった。
僕にとって紅皇はやはり緋狭さん以外にはありえないけれど、それでも緋狭さんが認めた朱貴に教えを乞うて正解だと思う。
今の僕には、朱貴の厳しさが必要だ。
甘ったれた心身には、刺激が必要だ。
そんな僕に触発されて、紫茉ちゃんも真剣に頑張っている。
彼女の動きも元々素人離れしているものだが、何よりめげない、くじけない。
女の子なんだから、容赦なく朱貴に叩き付けられれば戦意は薄れると思うけれど…その逆で、更に戦意を強めていて。
嬉しそうだ。

