――"心"で力を制御しろ。
朱貴は言った。
――緋狭も言ったはずだ。強さは…心に比例すると。
緋狭さんの教えすら、朱貴は判っているのか。
朱貴の言葉は、何処か緋狭さんの教えに通ずるものがある。
――お前は1度、緋狭の金翅鳥(ガルーダ)を消した。その時の心は?
あれは横須賀港付近。
櫂を…早くゴールに行き着かせたくて。
櫂を殺したくなくて。
――お前は何度も芹霞を守った。その時の心は?
僕の命に変えても、芹霞を生かせたいと。
――ならば、その覚悟で…お前の色、電気の青色を変えずに、力を放て。
守りたい。
生かせたい。
――色を変えるな!! 力に翻弄されるな!!
――違う!! 自我を強めろ!! お前が死んだら誰が守るんだ!!
僕が死んだら…。
――もっと生きることに執着を見せろッッ!! "命"に頼るなッッ!!
生きること…。
――何度も言わせるな。"命"を削って死にたいのかッッ!? お前にとって、力にしたい"心"とは死ぬことか!!? 死にたいから力を使っているのか!!?
違う。
僕は…生きたい。
共に生きるために、守りたい為に…この力を使いたいんだ。
守りたいという"心"。
一緒に生きたいという"心"。
心だ…。
そう、その心が僕の力の糧となる。
――だから言っているだろうが、"心"で制御しろ!!
僕は…芹霞のくれた月長石のバングルに何度もキスを落して、
「あああああ!!!」
叫びながら力を全放出した。
"約束の地(カナン)"でのあの時のように、大切な者達と共に生きて共に進める未来を渇望して、そしてそれが実現できるという手応えすら感じたあの爽快感。
前に進みたい。
生きて進むための力が欲しい。
もっと、もっと!!
2ヶ月前、芹霞の命が止まった瞬間。
目の前で櫂が散った瞬間。
そして――
"約束の地(カナン)"の爆破。
少し前の桜の異変も、僕が居たのに状況を変えられなかった。
大切な人達が崩壊する様を、ただ眺めるだけの弱さは欲しくない。
生きたい。
僕の大好きな皆と僕は生きたい!!
だから、強くなりたい!!
限界を超えたいんだ!!

