駄目だ、耐えられねえ!!!
あんなの被ったら"漢(オトコ)"じゃねえ!!!
俺は強い"漢(オトコ)"になりてえんだ!!!
あんなの平気で被れる"漢(オトコ)"にはなりたくねえ!!!
俺にだって、矜持はあるんだよ!!!
だけど櫂が追いかけてくる。
俺は逃げる。
鬼ごっこだ。
何で俺、櫂と鬼ごっこするよ!!?
そして――
「お前…風の力使うなよ!!!!」
纏わり付いた風が…
強制的に俺を櫂の元に引き戻してしまったんだ。
「仕方ないだろう? 非常事態だ」
しれっと言いのけた櫂は、
「煌、動くなよ?」
俺の頭に手を伸して――…
もそっ。
…ん? 何だ?
「何するんだよッッッ!!!」
途端、響いたのは怒号。
俺の頭上に住み着いた、玲の声したヘンテコ生き物が叫んでいる。
櫂は…俺の頭上から、胡桃を掴むとぽんと遠くに投げたんだ。
「胡桃…
僕の求愛の胡桃ッッッ!!!」
悲痛な声を響かせて、俺の頭上から飛び降りる下膨れリス。
コロコロ転がる胡桃を全力で追いかけ、ふさふさ立派な尻尾を大きく揺らして走るリス。
そんな時――
「あ……」
声を上げたのはアホハット。
アホハットの頭にあった帽子を、櫂が掴むと…そしてこれもまた、ぶんと投げたんだ。
チビリスに向けて。
「胡桃、僕の胡桃…みつけ…えええ!!?」
スポン。
帽子は胡桃を手にしたチビリスの上にて落下し、チビリスの身体をすっぽりと覆い隠してしまった。
もぞもぞ、帽子だけが気味悪く…スローに動いている奇妙な風景。
そしてそれは力尽きたように動きを止めると…何か小さいモノが帽子のつばよりはみ出た。
ぷるぷる震えているのは…手?
「真っ暗で…臭くて…暑くて…僕…死にそう…」
息も絶え絶えの声。
やば。
このままではあいつ、本気に死んじまうんじゃないか!!?

