あたしは、昔からこうしたキャラクターのおにぎりを作るのが好きだった。
昔はよくワンコのおにぎりを作って、一緒に食べたな…。
「……誰とだ?」
自問自答。
あたしは…誰と一緒に、ワンコ型のおにぎり食べたんだろう。
ワンコ…煌とか?
あいつに共食いさせてたか?
――おいしいね、芹霞ちゃん…!!
頭に蘇る声音は…煌ではない。
奴がこんなに可愛く話すわけがない。
じゃあ誰……?
何だか…最近聞いたようなか細い声だけれど。
「ニャア」
考えていると、ぺしっと尻尾で顔面をはたかれた。
「ニャア、ニャア!!」
ぺしぺし。
「何だ、お前は!! お腹減ってるの? じゃあこれ…」
大皿にある小さめのおにぎりをあげると、ぷいと顔を横を向ける。
今度は百合絵さんの作った巨大おにぎりをあげると、またぷいと横を向く。
「何よ、このリスのは駄目だからね!!? このティアラ姫のも駄目だからね?」
「神崎…握っているそれ、ぶちゃいくワンコだったのか!! 食べる気無くす形態のおにぎりだ…」
「ニャア」
「だから手を出しても駄目だって!!」
「ニャア」
「駄目だってば!!」
「ニャア」
「え、作ったものを欲しいんじゃないの? 新たに作れって強請(ねだ)ってるの?」
ぺしぺしぺし。
「神崎……。多分さ、多分だけど…そのニャンコ、自分だけのおにぎりが欲しいんだよ」
「は? クオン用のおにぎり?」
「ニャア」
ふさふさ尻尾がくるくると揺れている。
「え……ニャンコ型のおにぎり…とか?」
「ニャア」
お手までされた。
だからニャンコ型のおにぎりを作ったら、クオンはむしゃむしゃ食べ始めた。
「共食いしているっていう気分にならないのかな…」
「神崎…。恋心が判ってないね…」
由香ちゃんが何かを言って嘆いていた。

