シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「師匠、発作起こすなよ!!? 5時まではまだあと…2時間あるからな!!?」


2時間までに…ATM、走り込まねば!!!

何回分割送金になるんだろう…。


「で、だ」


また…空気が一段と冷え込んだ。


「明日、入塾テストを受けて貰う。場所については紫茉に聞け」


氷皇は、カーテンが閉まった内部…芹霞が眠る空間に居るだろう、紫茉ちゃんを一瞥した。


「氷皇…」


口を出そうとした朱貴に、氷皇はすうっと更に冷えた目を向ける。


「口出しするな、朱貴。願い叶えたくば、お前は俺の言う通りに動け」


その剣呑な空気に緊張感が増し、朱貴は…口を閉ざした。


氷皇の威圧感は凄まじすぎる。

五皇となり存在感を増させた朱貴でさえ…この酷薄モードの氷皇には霞んで見える。


その氷皇に…僕は――…。


「しかし僕は…今外に出るわけには…」


「聞けないのか、お前は」


その眼差しが僕に向いた。

血すら凍り付かせる、非情な青色。


「俺は行けと言っている。口答えは許さん」


「………っ」


青の色彩は…鮮烈すぎた。

僕の身体の動きを縛るほどに。


しかし。


「今、僕は芹霞から離れたくない。

芹霞を守れるのは僕だけだ」


そう、桜も居ない今なら特に。

僕は氷皇に抵抗した。


「自惚れるな。お前並の力の者など、数多いる。お前は…朱貴程の力もない。守ると言えるのは、力ある者が言う台詞だ。自分の身も守れず、他人により救い出されたお前には…ただの戯言にしかすぎん」


反撃のように返った言葉は…僕には辛辣すぎた。

それでも僕は、崩れるわけにはいかないんだ。


「随分と…反抗的な目だな、玲。芹霞が櫂ではなくお前を選んだから。お前は櫂から次期当主の座まで奪えたからと…少々図に乗りすぎていないか。ん?」


「違う!!!!」

「口答えするなと言ったはずだ!!!」


ガンッッ!!!


目の前の机が、跳ね上げた氷皇の片足により…天井にぶつかり細かく砕けた。

ぱらぱらと欠片が降ってくる。

そこには、かつての姿の名残は何もなく。


この域はもう…人間の足技ではない。

鬼神だ。