揺れる。
力の放出に耐え切れないと、なまり過ぎた体が揺れて悲鳴を上げてぐらぐら揺れている。
――坊。貪欲であれ。
闇も風も関係ない。
操るのは俺だ。
俺の力だ。
闇に出来て風に出来ぬことはない。
そんなの俺が許さない。
どちらも、俺の力なんだ。
力の種に…俺が操られているわけではない。
俺は居る。
此処にぶれずに居る。
思い出せ、闇の力の解放の感覚を。
思い出せ、俺が意識的に闇の力を思い切り出した時、こんな程度の力ではなかったはずだ。
あの感覚を再現せよ。
思い切り、力を出した時はどんな時だ?
心地よく解放したのは?
あれは――
"約束の地(カナン)"だ。
煌と玲とで力を合わせた時だ。
3人の力が1つになって、限界などないように思えたあの爽快感。
あの時、煌の増幅の力の補助はあったけれど、闇の勢いはこんなものではなかったはずだ。
もっともっと…俺は自信を持って力を放出していたはずで。
必ず出来ることを、疑っていなかったはずで。
だったら、今だって同じだろう?
「すごっ…緑が…光ってる!!!?」
煌が此処にいなくても、心は繋がっているはず。
玲が居なくても、離れた処であいつも頑張っている。
此処でもレイとして頑張っているじゃないか。
条件は…同じだろう?
俺達は…強くなるという目標に向けて、同じように頑張っているはずだ。
思い出せ、あの時を。
心を繋いで、力を解放した時のことを。
「紫堂櫂…ブロックが…」
俺は、負けるわけにはいかないッッ!!!
何より、"出来ない"という自分の負の心には、負けるものか!!
ゴ・・・。
「ブロックが動き始めた!!!」
ゴゴゴ…。
「くそっ、もっと…行くんだッッッ!!!!!」
微かな手応えを感じた時、それを離すまいと俺は叫ぶ。
「行けッッッッッ!!!!」
意識が遠のきそうな、限界近い力の大放出。
「凄い、凄いぞ…動いてるよ、ちゃんと動いてる!!!」
ゴゴゴゴ…。
「限界は…まだまだだッッ!!!」
そう叫ぶと――…。
不意にズドンと…猛烈に体の中から何かが飛んでいく気がして。
風と俺が…一体化した気がした。

