シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



揺れる。

力の放出に耐え切れないと、なまり過ぎた体が揺れて悲鳴を上げてぐらぐら揺れている。


――坊。貪欲であれ。


闇も風も関係ない。

操るのは俺だ。

俺の力だ。


闇に出来て風に出来ぬことはない。

そんなの俺が許さない。


どちらも、俺の力なんだ。

力の種に…俺が操られているわけではない。


俺は居る。

此処にぶれずに居る。


思い出せ、闇の力の解放の感覚を。

思い出せ、俺が意識的に闇の力を思い切り出した時、こんな程度の力ではなかったはずだ。


あの感覚を再現せよ。


思い切り、力を出した時はどんな時だ?

心地よく解放したのは?


あれは――

"約束の地(カナン)"だ。


煌と玲とで力を合わせた時だ。


3人の力が1つになって、限界などないように思えたあの爽快感。


あの時、煌の増幅の力の補助はあったけれど、闇の勢いはこんなものではなかったはずだ。


もっともっと…俺は自信を持って力を放出していたはずで。

必ず出来ることを、疑っていなかったはずで。


だったら、今だって同じだろう?


「すごっ…緑が…光ってる!!!?」


煌が此処にいなくても、心は繋がっているはず。

玲が居なくても、離れた処であいつも頑張っている。

此処でもレイとして頑張っているじゃないか。


条件は…同じだろう?

俺達は…強くなるという目標に向けて、同じように頑張っているはずだ。


思い出せ、あの時を。

心を繋いで、力を解放した時のことを。


「紫堂櫂…ブロックが…」


俺は、負けるわけにはいかないッッ!!!

何より、"出来ない"という自分の負の心には、負けるものか!!


ゴ・・・。


「ブロックが動き始めた!!!」


ゴゴゴ…。


「くそっ、もっと…行くんだッッッ!!!!!」


微かな手応えを感じた時、それを離すまいと俺は叫ぶ。



「行けッッッッッ!!!!」



意識が遠のきそうな、限界近い力の大放出。


「凄い、凄いぞ…動いてるよ、ちゃんと動いてる!!!」


ゴゴゴゴ…。


「限界は…まだまだだッッ!!!」


そう叫ぶと――…。


不意にズドンと…猛烈に体の中から何かが飛んでいく気がして。

風と俺が…一体化した気がした。