シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「紫堂櫂、連鎖頼む~っ!!

…ていうか、俺…どうやって降りるんだよぉっ!!!!」


俺は笑いながら、風の力で翠を包んで降下させた。


そして地面に降り立ったのを確認した俺は、そのまま両手で最下段に風をむける。


今度は俺の番。


"限界突破"


翠に出来たのなら、俺にだって出来る。


俺の持つ力は風と闇。


闇の力は強大だ。

無意識だったとはいえ、暴走した闇の力は東京を大惨事に巻き込んだ程。


闇の力は底知れぬもので、芹霞の為だけに存在した特殊なもの。


だからこそ俺は、切り札的なもの以外に使用してこなかった。

芹霞がいない時、無闇に…安易に使いたくはない。


それに俺だって試したい。

こんな時にとも思うけれど、"こんな時"だからこそ。


"風"の力の限界の先を。


いつも風の力が及ばぬ時に、闇に切り換える。

闇より格下付けしている風の力を、その限界の幅を伸したいんだ。


真ん中の列にブロックが落ち、左と右のブロックは1つに繋がった。

即ち、最下段を動かそうとすれば…かなりの重量。


16ブロック構成で400kgであるならば、

200トンはゆうに超えているだろう。


やってやる。


両手に、緑色の螺旋状の光が巻き付いてくる。


「はっ!!!!」


声と共に、両手から解放する風の力。

左端に、竜巻状の回転する暴風をねじ込むが、思った通り、風に対する物理的抵抗が強すぎて、微かに揺れる程度。


もっと、もっと力を。

回転数を上げ、大きくなる轟音。


それでも動かない。



「ぐっ…!!!」


もっと、もっと!!!


力で押し通そうと無理やり風を放出すれば、



「紫堂櫂、だ、大丈夫か!!!?」



手の毛細血管が切れた。

真紅色が風に散る。


「大丈夫だ」



特殊な闇でなければ、大きな力にならないというのが悔しい。

小さい力を成長させた、翠のような力が欲しい。





緋狭さんの声が蘇る。


――坊、"心"で力を制御しろ。

――強さは心に比例する。


心、心…。


――お前がその力で守りたいモノは何だ?


「紫堂櫂、血、血!!!」


視界に飛ぶ…俺の血色。


俺という存在を血に染めても、俺には守りたい者達がいる。

共に未来を歩みたい者達がいる。


歩むために、俺は戦う。

弱い自分自身と、戦ってやる。


――想起せよ。

――力に翻弄するな。力を操るのは…



「俺だ…!!!」