「紫堂櫂、連鎖頼む~っ!!
…ていうか、俺…どうやって降りるんだよぉっ!!!!」
俺は笑いながら、風の力で翠を包んで降下させた。
そして地面に降り立ったのを確認した俺は、そのまま両手で最下段に風をむける。
今度は俺の番。
"限界突破"
翠に出来たのなら、俺にだって出来る。
俺の持つ力は風と闇。
闇の力は強大だ。
無意識だったとはいえ、暴走した闇の力は東京を大惨事に巻き込んだ程。
闇の力は底知れぬもので、芹霞の為だけに存在した特殊なもの。
だからこそ俺は、切り札的なもの以外に使用してこなかった。
芹霞がいない時、無闇に…安易に使いたくはない。
それに俺だって試したい。
こんな時にとも思うけれど、"こんな時"だからこそ。
"風"の力の限界の先を。
いつも風の力が及ばぬ時に、闇に切り換える。
闇より格下付けしている風の力を、その限界の幅を伸したいんだ。
真ん中の列にブロックが落ち、左と右のブロックは1つに繋がった。
即ち、最下段を動かそうとすれば…かなりの重量。
16ブロック構成で400kgであるならば、
200トンはゆうに超えているだろう。
やってやる。
両手に、緑色の螺旋状の光が巻き付いてくる。
「はっ!!!!」
声と共に、両手から解放する風の力。
左端に、竜巻状の回転する暴風をねじ込むが、思った通り、風に対する物理的抵抗が強すぎて、微かに揺れる程度。
もっと、もっと力を。
回転数を上げ、大きくなる轟音。
それでも動かない。
「ぐっ…!!!」
もっと、もっと!!!
力で押し通そうと無理やり風を放出すれば、
「紫堂櫂、だ、大丈夫か!!!?」
手の毛細血管が切れた。
真紅色が風に散る。
「大丈夫だ」
特殊な闇でなければ、大きな力にならないというのが悔しい。
小さい力を成長させた、翠のような力が欲しい。
緋狭さんの声が蘇る。
――坊、"心"で力を制御しろ。
――強さは心に比例する。
心、心…。
――お前がその力で守りたいモノは何だ?
「紫堂櫂、血、血!!!」
視界に飛ぶ…俺の血色。
俺という存在を血に染めても、俺には守りたい者達がいる。
共に未来を歩みたい者達がいる。
歩むために、俺は戦う。
弱い自分自身と、戦ってやる。
――想起せよ。
――力に翻弄するな。力を操るのは…
「俺だ…!!!」

