翠の跳躍力は凡人よりかなり秀でているけれど、このテトリス自体のラインは、116段。即ち全長232m。
一番定位置にある突起部分にしても、半分の約120m。
何らかの超常現象的な力の補助がない限り、上には到達できないのは明らかであり、しかし翠にはそこまでの力の制御は出来ていない。
飛び跳ねてしまった以上、同時に符呪を使うだけの集中力も期待できない。
符呪なしで飛び跳ねても、あの突起までに何度かの踏み台がない限り、脚力で中央までも行き着くのは難しい。
それは本人だって判っているだろうに。
「翠ッッ!!!!」
案の定、地上から1mを超えた部分で翠が落下を始め、
「!!!!?」
何と、翠は――…。
ブロックの表面を垂直に走り始めた。
まるで忍者のように。
は!!?
しかし、重力があるから当然出来るわけがない。
落ちる。
そして上空のブロックも落ちてくる。
翠は――…
「諦めるもんかッッッ!!!!」
咆吼すると同時に、突如消えたんだ。
そう。ぱっと消えて…
「!!!!?」
また現われた。
そしてまた消え…
「へっぽこだろうと!!!
やってやる~~ッッ!!!!」
信じられない。
姿を現す度に、その小さな体躯は…確実に上へと進んでいたんだ。
推測出来ることは1つ。
「瞬間移動と…浮遊の力を、
組み合わせているのか!!!?」
ありえない…現象が起きている。
翠は、確実に上へ向かっている。
重力に逆らうのは浮遊の力。
浮遊の力が切れる時に瞬間移動をかけ、瞬間移動の力が切れると同時に、場所の維持の為に浮遊する。
連携されて、繰り返される翠の力。
途切れることない凄まじい集中力。
相乗的に循環される力は、まるで奇跡のように。
「ぬおおおおお~~ッッ!!!
限界突破してやる~ッッッ!!!!」
翠の…出現距離が、段々と大きくなっている。
力が、大きくなっているんだ。
唖然。
そして同時に…胸が躍ってきたんだ。
可能性の素晴らしさを見せつけられて。

