シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



コツさえ判れば…翠は出来る。


素質がいいのに、不当に"出来ない"と思いこんでいるから出来なかっただけ。

不足しているのは自信と、経験。


出来ると信じれば、必ず出来る。

出来たものは自信となり、次なるステップになる。


望むものには貪欲であれ。


それが俺の信条。



回復結界が作れないと言えば久遠もそうだ。

あれだけ力があるのに、どうして基本にも思える回復が出来ないのか不思議だ。

きっとレグは教えたのだろうけれど、久遠は力が凄まじくて、必要性を感じないから、素通りさせていたのだろう。

要は、やる気がなかったと。

回復の力が少しでもあったならば、俺はあのクサやら"しちゅ~"やらを食わずにすんだのではないだろうか…そう思いながらも、人に頼るのはよくないと思い直して、頭を左右に振って甘い考えを吹き飛ばす。


第一、あの久遠が、俺を蘇生に加えて回復まで施してくれるか疑問だ。

こちらからの…蘇生の提案を受けてくれただけでも、奇跡的なことだとは思う。


正直最初は"面倒臭い"だの"何でオレがお前の為にそこまでしないといけないんだ"だの、"勝手にくたばれ"くらい言われる覚悟はしていたけれど、久遠はすんなりと受け入れた。


特別芹霞の頼みでもなかったのに、どんな心境の変化があったのだろうか。


ただの気まぐれにしては、久遠には負担がかかりすぎたと思う。


俺が行った為に、"約束の地(カナン)"諸共久遠達を巻き込んでしまったのは、正直心が痛い。

だからこそ、早く此処を抜けて、久遠へ借りを返したい。

俺は恩知らずではないつもりだ。


久遠にも俺の出来ることをしたい。

その誓いもあって渡した芹霞の布。

あれは俺と久遠との約束でもある。


そんな俺の回想を遮ったのは翠の悲鳴。


「うわあ、紫堂櫂。ぱっくり真ん中から左右に別れちゃってる、ブロック!!!」


横列で見れば、左右の端1ブロック分ずつ、そして真ん中2ブロック分ずつの3列分が最下段になく。


そしてその3列は、上限ラインまでの116段における上方…即ち、地上から50段以上上の方に、飛び飛びにして密集している。


特に真ん中の2ブロックの列には、高さ中央辺りにある1ブロックが、まるで突起のように飛び出しているだけで、突起を挟んで上下は空洞だ。


それ以外の列のブロックは、最下段からラインぎりぎりまで、隙間なく高く聳(そび)え立っている状況。


目の前では、落下速度が早まったブロックが、更に不利な形状を築き上げていく。