ただし、外気功もそうだが…この力は瞬発力だ。
持続性はない。
頼りすぎると酷い目に会う。
そんな"瞬間的"内気功を此処で翠に教えたとしても、翠には…そんな付け刃的な内気功で、400kgの衝撃に耐えられないだろう。
筋力的にも無理だ。
出来ると信じて何度もやらせても、これから速度は増し、ますます重力が影響する衝撃度は高まる。
その中でひとたび筋肉が完全に断裂してしまえば、回復結界では対応できない。
回復結界は、痛みやら浅い傷、打撲や疲労などなら効果はあるが、細胞レベルの再生に関しては、不可能ではないにしても、発揮できる回復力は微量だ。
そこで、落下ブロック担当を外してみた。
2度目は、符呪で最下段を移動させてみたが、不安定な力は、総重量がトンに至る最下段を弾き、最上段の1ブロックを小刻みに震撼させるだけで。
ちなみに俺は、ブロックを積み上げて段を消すのがいいか、最下段を風の力で移動させて連鎖をするのがいいか、判断しての臨機応変対応していたけれど。
――お答えします、櫂様。サルの符呪はOKです。
翠の術は、低く見られているらしい。
それが功を奏して、万が一の可能性があるかもしれない。
3度目は、落ちてくるブロックに符呪で力を送りながら重力に抵抗させて体感の重さを減じさせ、それを受け止めることをさせてみた。
何とか持てたけれど、それでも腰に負担がかかりすぎたようで、腰砕け。
やはり爆発的な力は、翠には産めないようだ。
戻りは、俺が肩に担ぐ羽目になった。
――回復結界…?
作り方を知らないらしく、帰り道中、肩の上で訓練させた。
そういえば煌もまた、身を守る防御結界は張れるけれど、回復する結界を作れなかったなど考えれば、翠と煌は本当に酷似している。
まあ朱貴もそんな状況にさせまいと護衛しようとしていただろうし、例え翠が怪我をしても、自分が治す気でいて教えなかったのだろうけれど。
俺は、朱貴のように翠を庇護だけをする気はない。
"出来る"片鱗を見せ、やりたいという心が育っている以上、俺は翠の力を潰したくはなかった。
甘やかすのはいつでも出来る。
だからやる気を見せているのなら、力を伸ばせるのは今だけだ。
――気を身体に巡らせろ。腹式呼吸。臍の下…丹田に気を蓄え、それを背筋に通して脳天まで回していけ。同時にそれを…結界を作るように外に拡大し、自らを包み込んでいるように想起しろ。
――なんか…道教の錬丹、仙道で言えば周天みたいだな。
道教? 仙道?
これは緋狭さんから教えて貰ったもの。
その方法は、翠のような道教やら仙道やら陰陽道やらの教えとリンクするものがあるらしい。
だからこそ馴染みやすかったのか…自らの力で腰を回復させたんだ翠は。

