――いまどきの機械は凄えよな。お前の声を合成して、台詞にするんだからな。
嫌な予感がして。
煌の電話も…俺の声?
――あははは。ありえねえよな、"ワンワン、大好き"だぞ?
汗が滲んでくる。
――お前がんなこと言うわけねえよな。なあ、チビリスも思うだろ? なあ、そうだよな? ははははは。
"ワンワン、ぎゅう"
"ワンワン、大好き"
完全に俺の失態いえど…このまま誰が黙っているか。
情報屋…あとで見てろよ。
テトリスは、10秒の落下時間から、今は7秒のものに切り替わっている。
連鎖4回ごとに2秒、次なる落下時間と共に待ち時間が遅くなるから、それも幸いしてか、落下ブロックが見える前に、何とかテトリス台の前に行き着いた。
時間感覚が狂った世界だ、実質何秒かかっているかは判らないけれど。
「ニノ、残り後何段だ?」
『お答えします、櫂様。後61段です』
「時間はあと何秒?」
『お答えします、櫂様。あと200秒を切りました』
俺が計算をしてから、俺と翠は4回目のテトリス。
煌とレイは直前の回で4回目が終了した。
片道10秒と言うことは、次のテトリスをするまで最低20秒かかるということで、次の組がテトリスに行き着くまでは、数個…見逃す落下ブロックが出る。
それを見越して最下段の調整をし、ペア共により多くのブロックを消す必要があるんだ。
200秒ということは、単純計算であと10回。
今を入れて10回で、61段を消せるか?
「ぎりぎりというところだな。」
当初翠は…400kgのブロックを持てず、ブロックと共に体ごと落下した。
翠の筋力を遥かに超える重いブロックに、更に重力が加わったものを受け止め、望んだ場所に運ぶのは俺でさえ気合が必要で。
支軸ずらしでは対処しきれなくなり、久々に…ブランクがある内気功に切り換える。
――坊、覚えておけ。体の限界を超えるものを扱う時は、気を一瞬のうちにて体内に幾重にも巡らせ、体内を強化せよ。全ては"練った"気の具合により肉体は堅固になる。
それを煌は難なく出来る。
煌に聞く限りにおいて内気功の意識はないようだから、いつもの緋狭さんの、非常識な訓練を耐えうる現実を思えば、緋狭さんは煌の筋力と共に、無意識にでも発動できる内気功も鍛えていたのだと思う。
怪我を回復する特殊な肉体を持つ上に、鍛えられて卓越した筋肉と強固な内気功。
だからこそ桜の攻撃を食らっても摩る程度で終わるし、トンのものでも持ち上げられる。

