シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「よし、闘い準備だ」


そんな俺の懸念など完全無視で。

チビリスは、俺の手から飛び降りて、ふさふさと立派な尻尾を左右に振りながらテトリス台に突き進み、鉄の胡桃を…3カ所、ブロックとブロックの隙間に投げ入れた。


何おかしなことやり始めたんだ?

切れてねえiPhoneから櫂の声がする。


『煌、レイは…空間認知能力があるらしい。上手くいけば認めてやろう。頭がいいことを』


「はあああ!!? 櫂、こいつは…『"いちきろ"g』の奴だぞ!!?」


『そうだな、あの珍解答を次々に出した手腕。見方を変えれば、瞬間的な機知に富んでいるんだ』


「お前…褒めすぎだって!! 状況判断できなくなっちまってるのか!!?」


そして――


『ははは。まあいい、見てろ煌。お前は次の落下ブロックを左端に入れて、5段消せ。既存ブロックを踏み付け、落下速度を落せよ。俺達も急いでそっちに向かってるから』

「あ!!!?」


左端って…斜めにずれていて、入れるトコねえし!!

落下するブロックだって、上からまだ見えてこねえのに。


何でそんな確信的なことを言えるんだ、櫂!!?

お前予知能力でもあったか!!?


「行くよ!!!」


脳天気なチビリスの声。


ブロックの上にぴょんぴょん飛び乗って、


バリバリバリ…。


電気の力が放たれる音がした。


「お前、何力出すよ!!?」


俺は驚いて声を荒げて。


うわ、こいつ馬鹿だ!!

真性の大馬鹿だ!!


『煌、そのままやらせろ!!!』


「はああああ!!?」



「行っけ~ッッッ!!!」



青い光がチビリスから放たれ――



「は!!!?」


それは小さな鉄の胡桃にあたって、次々とブロックに反射し…


そして…


ゴゴゴゴ…。


幾重にも…山にブロックを積み重ねたまま、全ブロックが感電したかのように震えだして、その衝撃で最下段のブロックが静かに動き出したんだ。


まるで大地震の振動の余波で、揺れ動いているかのように。

やがて。


パリーン。


動いたブロック同士がぶつかり合い、鉄の胡桃が割れた。


空いていた、最下段の隙間はほとんどが閉じられ、右に寄せられていて。


上から轟音をたてて落ちたブロックが、綺麗に下にはまり込む。


隙間だらけで、上下左右ずれて積まれていたブロックが、なだらかに並んだ時。


上から落ちてくるのは…


「うわ、何で早いよ!!?」


『煌!!! 最下段ブロックを動かしたら、そこでレイはターン終了。後はお前の出番だ』