「よし、闘い準備だ」
そんな俺の懸念など完全無視で。
チビリスは、俺の手から飛び降りて、ふさふさと立派な尻尾を左右に振りながらテトリス台に突き進み、鉄の胡桃を…3カ所、ブロックとブロックの隙間に投げ入れた。
何おかしなことやり始めたんだ?
切れてねえiPhoneから櫂の声がする。
『煌、レイは…空間認知能力があるらしい。上手くいけば認めてやろう。頭がいいことを』
「はあああ!!? 櫂、こいつは…『"いちきろ"g』の奴だぞ!!?」
『そうだな、あの珍解答を次々に出した手腕。見方を変えれば、瞬間的な機知に富んでいるんだ』
「お前…褒めすぎだって!! 状況判断できなくなっちまってるのか!!?」
そして――
『ははは。まあいい、見てろ煌。お前は次の落下ブロックを左端に入れて、5段消せ。既存ブロックを踏み付け、落下速度を落せよ。俺達も急いでそっちに向かってるから』
「あ!!!?」
左端って…斜めにずれていて、入れるトコねえし!!
落下するブロックだって、上からまだ見えてこねえのに。
何でそんな確信的なことを言えるんだ、櫂!!?
お前予知能力でもあったか!!?
「行くよ!!!」
脳天気なチビリスの声。
ブロックの上にぴょんぴょん飛び乗って、
バリバリバリ…。
電気の力が放たれる音がした。
「お前、何力出すよ!!?」
俺は驚いて声を荒げて。
うわ、こいつ馬鹿だ!!
真性の大馬鹿だ!!
『煌、そのままやらせろ!!!』
「はああああ!!?」
「行っけ~ッッッ!!!」
青い光がチビリスから放たれ――
「は!!!?」
それは小さな鉄の胡桃にあたって、次々とブロックに反射し…
そして…
ゴゴゴゴ…。
幾重にも…山にブロックを積み重ねたまま、全ブロックが感電したかのように震えだして、その衝撃で最下段のブロックが静かに動き出したんだ。
まるで大地震の振動の余波で、揺れ動いているかのように。
やがて。
パリーン。
動いたブロック同士がぶつかり合い、鉄の胡桃が割れた。
空いていた、最下段の隙間はほとんどが閉じられ、右に寄せられていて。
上から轟音をたてて落ちたブロックが、綺麗に下にはまり込む。
隙間だらけで、上下左右ずれて積まれていたブロックが、なだらかに並んだ時。
上から落ちてくるのは…
「うわ、何で早いよ!!?」
『煌!!! 最下段ブロックを動かしたら、そこでレイはターン終了。後はお前の出番だ』

