『煌、どうだ?』
通話ボタンを押せば、やはり相手は櫂で。
「いま、テトリスについた。音楽聞こえるだろ?」
『いいペースだ。俺も今、翠連れて扉に走っている』
そのせいか。櫂の声が少しばかり乱れている気がするのは。
「ブロックがまだ落ちてこねえんだ。もうこのチビリスがテトリスやるって煩くてよ、お前からも…」
『煌、レイに…落下ブロックではなく、最下段のブロックを右に詰めて移動させろ。最下段はどんな手段でも左右に動かせるから。
出来るだけ落下速度を速くして、俺達と交代して段を109消していく』
突然、櫂がおかしなことを言い出した。
最下段を…リスに動かせろ、だって!!?
「急いでテトリスをするということは判った。判ったけどよ…そこにチビリスが何で出て来るよ!!? 最下段って…上にはブロックが乱雑に積まれてすげえ重さだぞ!!? 俺でさえ無理だと思うぞ、あれは1トンを遙かに超えてるぞ!!?
1ブロックでさえやばいのに…なんであんな小さい手で、トン……あ? 別に400kgでも同じことだって。リスにブロック動かせるわけねえだろうがよ!!?」
リスは電話が聞こえたのか、勇ましく頭上から地面に降りて来て、電話を代われと小さい手を出して俺を急かす。
このチビにiPhoneなんて持って喋れるわけねえから、さっきと同じようにリスの首根を指で摘み上げ、反対の手に持った電話に近づけて会話させる。
「もしもし?」
『レイか? ブロック隙間に鉄の胡桃を入れろ』
「………。成程ね、読めたよ。お前も中々やることが派手だね」
は!!?
それだけで何が判ったんだ、このリス!!?
何でそんな不敵な笑い方をするんだ?
『お褒めに与(あずか)り光栄だ。で位置は…』
「僕を見くびるなよ? 位置くらい判るさ!! 下1左2、下3左8,下1右1の処だね!!?」
『そうだ。中々頭がいいじゃないか』
「勿論さ。そういってるじゃないか!!」
『ふ、ブロックは踏めよ。踏めば更に5秒早まる。期待してるぞ』
「任せてよ!!」
ポン。
…とも音がしねえけれど、得意げにそらしたふかふかな毛並の胸を、小さな手で叩いて。
自信満々なのはいいけどよ…。
お前、過去の戦歴思い返してみろよ?
達者なのは口だけで、欲に弱い。
やる気になれば出来るらしいが、それにも限界というもんがある。
お前の手、俺の小指の爪程だぞ?
そんな両手で、400kgのブロック1つでも持ち上げられたら、それだけでリス神様だぞ?

