シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「あまりもたもたしてたら世間様に出ちゃうよ、あの動画…。そうだね、1人分しかやっていなければ、お仕置きだね」


「あう…」


………。


1人分もやっていないらしい。

早々に戦線離脱して、迷惑をかけっぱなしでいた僕は、由香ちゃんを責める心は毛頭無いけれど。


このままでは、氷皇の機嫌を損ねてしまう危惧が芽生えている。



「いいい、今…やってるさ!!!」


精一杯の、由香ちゃんの虚勢。

何処をどう見ても、ばればれの虚勢。

絶対女優には慣れない由香ちゃんの反応。


「何処で? 気配ないじゃないか。嘘言うと…出ちゃうよ、動画。プラスお仕置き。俺の力、忘れてないよね~?」


きっと全て判っているに違いない、氷皇の追尾の手は緩まない。


「ううう。い、今…神崎が…あっちでやってるから、ボク…七瀬と様子を見てくる…。七瀬…行こう?」

「え? あ、ああ?」


ああ…由香ちゃん。

手と足一緒に出てるし、ロボットみたいな歩き方だよ。


「じゃあ俺も一緒に行こうっと」


氷皇も立上がる。


「い、いいよ、氷皇様は此処で優雅に食べて飲んでろよ!!」


由香ちゃん…声、上擦りすぎ。

何だか由香ちゃんが口を開けば開く程、救いようもない底なし沼にずぶずぶと沈んでいる感覚なんだけれど。


「いや、いいからいいから。食べたら運動しないと」


由香ちゃん困って僕を見た。

此処で僕に振る!!?


………。


「あ、氷皇。"約束の地(カナン)"のビデオのことなんだけれど……」


僕は慌てて少々込み入りそうな話題に変えたのだけれど。


「それは後でね。今はこっちが優先~」

「だけど…是非今聞きたいことが…」


「レイクン。うるさい」


むぎゅ。


「○△※〒×!!!!!」


両側だった。

しかも捩られた。


「師匠…ごめんよ…」


ぼそっ。


僕と由香ちゃんは…朱貴を見た。

多分僕達は涙目だ。


朱貴は溜息をついて…

指で×を作って、あさっての方向を見た。


……見捨てられた。


「さあて、頑張ってる芹霞ちゃんに会おうかな。芹霞ちゃーーん。あれ、返事ないね…具合悪くて寝ているのかな!!?でもそうしたら、占星術(ホロスコープ)作ってないということになるよね。あれ、話が違うな~?」


判っていて…言ってるんだ。