シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「氷皇。くだらない戯言を吐き来たのなら、さっさと帰れ」


腕組みをした朱貴が濃灰色の瞳を凍らせながら、我が物顔で椅子にふんぞり返って座る氷皇に言った。


「あら~ん、朱ちゃ~ん? 怒っちゃや~よ? 蒼生ちゃん怖い~」


おどけたフリをした氷皇の口調は…恐らく――…


「……ちっ。あいつの口調をするな!!! 腹立たしい!!!」


あいつとは…周涅のことだろう。

朱貴は…周涅には憎悪を向けるが、氷皇には嫌悪に留まっている。


こんな腹立たしい胡散臭い男でも、周涅よりは好印象なのか。

僕にはあまり差違はないように思う。

周涅と氷皇の関係は何だろう。


違うのは色だけ。

双子と言われても、特別驚きはしないだろう。


むしろ他人と言われる方が違和感あるけれど、周涅側からしてみれば、氷皇は…憎悪の対象らしい"他人"。

同族嫌悪のような、反発心が見られるんだけれど…。


「あはははは~。そうだ、由香ちゃん。占星術(ホロスコープ)まだ?」

「あ!!!」


忘れていたらしい。

僕だって…記憶を巡らせて、今思いだした。

僕が部屋を出た後、彼女達はどうしていたんだろうか。


「全然連絡来ないからさ、iPhoneで動画や写真の撮り方判らないのかと思って、手取り足取り指導しにきたんだ。

まさかさ、俺が言ってたことを忘れてたとか、後回しにしようとか…してないよね? 此処で落ち着いて…進めているよね? 勿論、喋ってばかりでサボってなんてないよね? 何よりも優先的に急いでぱっぱとやってるよね? 俺の言ったことは即実行しているよね?」


藍色の瞳が…威圧的に細められる。

酷薄な氷皇の真の顔を、ちらりと垣間見せて。


逆らうことを許さない、それこそ氷皇までのし上がった…非情な男の脅威で。


由香ちゃんの顔から、みるみる間に血の気が引いていく。

それだけでもう、進行具合は明らかになったようなもので。


あれは…大至急しないといけないものだったらしい。

――氷皇の中では…。


勿論僕達にとっては面倒な、一番後回しにしたい事柄で。

必然の氷皇が急がせる…それは、あの占星術(ホロスコープ)作成もまた…必然の行動だとでもいうのか?

至急と言うことは、今、必要になるものなのか?


「あ~だけど君達も忙しかったもんね。それを少し考慮してあげよう。俺は優しいからね~。あとどれくらいで出来る?」


「う……」


由香ちゃんが詰まった。

全然進んでいないらしい。