これは正しく――
「師匠…これも愛の表現なんだね」
「うん。痛い程の強い愛だね」
「きっとさ、七瀬のベッドは、ふかふかなんだね」
「うん。きっと此処にはあるけれど、彼女以外に使わせたく無いんだね」
「あれ、師匠。そういえば、クオンは?」
「そういえば…。あれ?」
すると芹霞の眠るカーテンに首を突っ込んだ由香ちゃんが、潜めた声を上げた。
「居た!!! 神崎の布団に潜って寝てるよ。ちゃっかりしてるな…」
いらっ。
「………」
「師匠?」
「………」
「師匠ってば!!」
「え?」
「相手は、ニャンコだから」
「うん……」
駄目だな僕、嫉妬深くて。
ネコを追い出して、ネコの代わりに隣で寝たいなんて思ってしまった。
数十分後――。
床に直接マットレスを強いて作った寝床に、全員がかりで百合絵さんの巨体を持ち上げた。
「意外や意外。思ったより重さが然程感じない。ずんと来ないね」
「そうだね。僕ももっと腰にくるかと…」
「朱貴は…肩に担いで、あたしのマンションから車経由で桜華に運んだよな」
「何だ?」
「今更だけど、お前…1人で大丈夫だったのか?」
心配気な紫茉ちゃんの問いかけに、朱貴は鼻で笑うように言った。
「大丈夫じゃないといったらどうするんだ? お前が尽きっきりで俺の看病でもするか?」
「看病!!? そんなに悪いのか、身体!!! ああ、判った。空いているベッドに…」
「……冗談じゃない、この阿呆が!! 出来ることと出来ないことをきちんと判断してから物を言えッッ!! お前にこの俺の看病など出来るはずがないッッ!! させて溜まるかッッ!!」
「痛い、痛いッッ!! 殴ってから言うなよ!!」
何か…紫茉ちゃん、可哀相。
だけど多分、そんなやりとりさえ、紫茉ちゃんと交流できる朱貴にとっては嬉しいことのはずで。
僕には…紫茉ちゃんに同情しながらも、見ているだけしか出来なくて。
それが朱貴の…忍んだ愛の形というのなら、僕達は邪魔出来ないんだ。
せめて、紫茉ちゃんに届くよう…見守ることしか。
だからごめんね、紫茉ちゃん。
頑張って…気づいてあげてね、朱貴の愛を。
僕…朱貴の気持ちがよく判るから。
鈍感女の子を好きになった、男の辛さは…。
守り抜きたい、男の決心は…。

