「当主が? 危険だから?」
「それもある。だけど一番の理由は…副団長も、守護石を顕現できるからだ」
「それは、煌みたいに石から武器にすることが出来るってこと?」
「そうだ。彼は…桜が団長としての資質がなければ、桜に代って団長になれる実力はあった。顕現は団長レベルじゃないと出来ないんだよ」
団長でもなく出来る煌は凄いのか。
「1つの組織に、混乱する力は不必要。桜が団長ならば、桜以外の顕現を当主は禁じたんだ。だから桜は、副団長が顕現出来ることも…この針を武器にすることも、知らないはずだ」
紫堂の警護団は何だか複雑だ。
「だけどさ、師匠。過去何度か警護団に追われて顔合わせしたけれど、そんなに強い感じではなかったじゃないか。葉山は一掃してたはず。団長レベルがあるのなら…なんかおかしくないか?」
「桜は飛び抜けているだけ。副団長は強いよ。だから桜は、何かあった時限定だけれど…副団長しか頼らない。基本、自分以外の人間を頼らないからね、桜」
玲くんの中の針。
それは突如形を無くして、石に戻った。
「黄鉄鉱(パイライト)だったのか。さすがにそこまでは知らなかったけれど」
金色に輝く石。
「金…」
あたしの心臓が疼いた。
疼いて――
早く動き出した。
早い鼓動に乗って…誰かの声が聞こえてくる。
何だろう。
笑い声だ。
誰かの…特徴ある笑いが…。
「ねえ…この石の色…」
由香ちゃんが何か言っている。
「陽(はる)タンみたいな目の色だね…」
どくん、どくん。
心臓が突如大きく波打って。
直接心臓を殴られたような衝撃に、思わずあたしはくの字になる。
「芹霞、どうした芹霞!!?」
紫茉ちゃんが叫ぶ。
苦しい。
苦しい。
金色。
笑い声。
心臓。
泣き声。
――…ちゃああああん!!!
闇。
真紅色。
何!!?
映り行く断片は何!!?
苦しい。
息が…
ねえ息が…。
「不整脈が起ってる。
何でだ!!?
心臓に…今更、拒否反応でも!!?」

