シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「当主が? 危険だから?」


「それもある。だけど一番の理由は…副団長も、守護石を顕現できるからだ」


「それは、煌みたいに石から武器にすることが出来るってこと?」


「そうだ。彼は…桜が団長としての資質がなければ、桜に代って団長になれる実力はあった。顕現は団長レベルじゃないと出来ないんだよ」


団長でもなく出来る煌は凄いのか。


「1つの組織に、混乱する力は不必要。桜が団長ならば、桜以外の顕現を当主は禁じたんだ。だから桜は、副団長が顕現出来ることも…この針を武器にすることも、知らないはずだ」


紫堂の警護団は何だか複雑だ。


「だけどさ、師匠。過去何度か警護団に追われて顔合わせしたけれど、そんなに強い感じではなかったじゃないか。葉山は一掃してたはず。団長レベルがあるのなら…なんかおかしくないか?」


「桜は飛び抜けているだけ。副団長は強いよ。だから桜は、何かあった時限定だけれど…副団長しか頼らない。基本、自分以外の人間を頼らないからね、桜」


玲くんの中の針。

それは突如形を無くして、石に戻った。


「黄鉄鉱(パイライト)だったのか。さすがにそこまでは知らなかったけれど」


金色に輝く石。


「金…」


あたしの心臓が疼いた。


疼いて――

早く動き出した。



早い鼓動に乗って…誰かの声が聞こえてくる。


何だろう。

笑い声だ。


誰かの…特徴ある笑いが…。


「ねえ…この石の色…」


由香ちゃんが何か言っている。



「陽(はる)タンみたいな目の色だね…」


どくん、どくん。


心臓が突如大きく波打って。

直接心臓を殴られたような衝撃に、思わずあたしはくの字になる。


「芹霞、どうした芹霞!!?」


紫茉ちゃんが叫ぶ。



苦しい。

苦しい。


金色。

笑い声。

心臓。


泣き声。


――…ちゃああああん!!!


闇。


真紅色。


何!!?


映り行く断片は何!!?



苦しい。


息が…

ねえ息が…。


「不整脈が起ってる。

何でだ!!?

心臓に…今更、拒否反応でも!!?」