カチャカチャ…。
出てこようとしているのか、
あんなに小さい換気口から。
制裁者(アリス)?
制裁者(アリス)が…ここに侵入出来るのか?
周涅と朱貴が居る…この家に?
可能性は…1つだけある。
小さくて…この家に過去も何度も出入りしていたはずの制裁者(アリス)。
――よき旅を。
凱…もしくは雅。
だけど、
「芹霞、あれは――…」
僕の心は否定した。
あれは…
「――…ネコだ」
天井にある換気口。
その格子越しに見えるのは…
「は!!!? ネコって…クオン!!!?」
ネコの瞳の気がする。
僕を睨み付けているような…
怒りで真っ赤な瞳。
何処ぞの誰かのような…
激情の赤色。
「え、でも黒すぎだよ!!?
クオンは白系で…
違う猫!!?」
マンションの最上階で、他の猫が紛れ込む可能性なんてない。
「あれは…あのネコだよ」
「えええ!!? クオンは…毛色まで変えられるの!!!?」
本当に…何でもアリなネコだね。
ガチャガチャガチャ。
降りたくても換気口が動かないようだ。
かといって…元来た道を戻る気もないらしい。
「仕方がないね…」
憎たらしいネコだけれど。
仰天なことを仕出かす、奇天烈なネコだけれど。
所詮、ネコ…だものね。
僕は背伸びをして、手を上げて…換気口を開けた。
こちらから「開」の文字にレバーを合わせればいいだけの、単純構造で。
実にあっけなく。
すると――…
「ニャアアアア」
突然外れた格子ごと…
悲鳴を上げた…ようなネコが、
雪崩のように派手に落下してきた。

