シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「どうした…?」


「これは…俺の…大事な…もの…?」


大事にしすぎて、記憶の齟齬すら判らずにいた俺は。


もしも此処で――

今の煌と見つけた些細な"証拠"を事実とするのなら。


俺は事実から目を背けて…

俺の一部偏った悪夢の形を、勝手に信じ続けてきたのではなかろうか。


大事に…大事にして。

まるで慈しむように、誰にも触れさせず、そう…俺の顕在意識さえも。


そう…

此処は悪夢なんだ。


記憶と言えど…夢なのだ。


その夢の形が…"現実"への連携を遮っているのだとしたら。


真実や、強さ…現在の"現実"に繋がる全てのものを、邪魔していたのだとしたら。



もしも――。



「これか…」


俺は天井を見上げた。


「克服しないといけないのは――

この悪夢なんだ。


悪夢を忘却させないのではなく。

忘却させるのでもなく。


変化させ――

昇華させること…」


「あ?」


「この悪夢の為に今の俺が在るのではなく――この悪夢はきっかけにしかすぎないということ。原点…回帰、だ」



煌は目を細めた。



「この悪夢が或る限り…恐れが出る。

恐れは強さの弊害となる。


恐れを無くすためには――

俺達自身が…変わらないといけない。


8年前の悪夢。


俺は…逆にそれに囚われすぎていた。


俺の存在意義は…悪夢ではない。

今に繋がる…俺自身の証明だ」


「櫂……」


「煌…。お前がいい例じゃないか。

人間は…変化出来る。

記憶があってもなくてもな。


俺は――

守りすぎていたんだ、この悪夢を」


「え?」



「そう…守っていたのはこの悪夢自体。


だからこの悪夢を変えれば――

此処を抜けられる」