シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「なあ櫂…その下の、雑誌広告なんだけどよ」


「『超科学推考』…これ、確か隠秘学(オカルト)よりの科学雑誌として、当時科学者のバッシングを受け2号で廃刊になった雑誌だ。前玲が探していた」


――知ってる、櫂? たった2号で消えた幻の『超科学推考』…今凄い高値で売買されるんだって。保存状態よければ、30万以上にはなるらしいよ? 当時は二束三文だったろうに、世も末だね。何処かで売ってないかな。


「この雑誌じゃねえか? タイトルも号数もおんなじ」


煌はテーブルの上にある一冊の雑誌を持ち上げた。


『超科学推考』。

他数冊ある雑誌は車や大衆紙。しかし煌が手にしたその雑誌は、明らかに普通の一般人を拒むような、異質な堅固さがある。

表紙には、"人魂やオーラを科学的に考察"だの、"疑似科学"という文字もちらちら見えて、科学専門誌というより隠秘学(オカルト)要素の方が強そうな雰囲気だ。


「何で芹霞の親父、こんなの読むよ。小せえ文字ばっかじゃねえか。こんなの読んでいる親父から、何であんなアンポンタンが…ん? 此処…頁折られてるな」


煌がその頁を開けると、見開きの大きな写真が飛び込んできた。対照的な雰囲気の2人の男が、握手をかわしている白黒写真だった。

記事をざっと読めば、体格よい男がやつれた顔の男の論文にヒントを得て研究を進めていることに対する、対談の記事らしい。


煌は白黒写真を指をさして、


「このでっぷり禿げた男と握手してるのさ、……似てないか?」


褐色の瞳を細めた。


「玲に」


俺はその写真をよく見た。


………。


若々しさも美貌もなく。

柔和というよりも、病んだような顔つき。

間違っても端麗な…白い王子様ではない。


「煌、お前目…大丈夫か?」

「俺の目は人よりいいんだよ。なあ櫂、想像してみろよ。白衣を着た…老けて太らせ、もっと病的に引き籠りにさせた髭面の玲」


「…想像しにくいこと考えるな、お前」


やつれた男の研究にヒントを得たらしい…『ネオサイエンス』だとかいう怪しい研究所所長が打ち出したものは――


『電脳生命体と時空間制御』


電脳生命体?

時空間制御?


そして気づく。


「煌、これ…」

「ん?」


「玲の…父親だ」


俺は記事の一部を指差した。


"榎波壱弥"


それがやつれた方の男の名前。


「玲の親父!!? でも"紫堂"じゃねえぞ? 何で"榎波"?」

「"榎波"は…」


俺は言った。


「俺の…母親の旧姓だ」