「ニノ、このまま見ているだけは…CLEARになるか?」
『お答え致しかねます』
ならないらしい。
ニノの答え方は…ある意味判りやすい。
ゲームの核心に触れることはぼかすんだ。
「このゲームでは何をすればいいんだ?」
『お答えします、櫂様。守ってはいけません』
定義(ルール)となる基軸には…YESかNOかで即答する。
"守ってはいけません"
やはり、基本はそれなのか。
「何を守ったらいけないんだ?」
『お答え致しかねます』
「何故俺達に攻撃してこないんだ?」
『お答え致しかねます』
「こちらから攻撃してもいいのか?」
『お答えしかねます』
「ニノ、それじゃあ判んねえぞ!!!」
煌が怒鳴ったけれど。
「いや、煌。それで十分だ」
「は?」
「ニノ、もし"守った"ら…どうなる?」
『お答えします、櫂様。
永遠に続くだけです』
俺は薄く笑った。
視界に拡がる光景は…また最初に戻ったようだ。
懐かしい…俺の思い出の中の神崎家。
母親が死んでからは、この家が俺の家だった。
覚えている。
色も匂いも。
――神崎家の皆の笑い声も。
だからこそ"あの日"刻まれた衝撃は、今も明確に記憶に植え付けられている。
「櫂…?」
揺れる褐色の瞳が向けられている。
青白い顔はまだ強張ったまま。
そう簡単に…克服など出来るものではない。
だけど…克服しないと次に進めない。
それは…煌だけではなく俺も同じこと。
俺は、煌に言った。
「煌…何となく判った。このゲームの趣旨」
「え?」
「ニノが…ヒントをくれた」
「は? 殆ど"お答え致しかねます"が!!?」
「ああ。裏を返せば…そこがミソになるということだ。攻略の核心のものについてはニノは返答出来ない。だとすれば、答えられないことに意味がある」
「意味…?」
「"守ってはいけない"のが基本であるのに、"守ってはいけない"対象を教えられないということは…それを俺達が見つけないといけないということだろう。
"攻撃"に関して俺は対象をわざとぼかして聞いた。攻撃されることも攻撃することも、その可否について答えられないということは、そこにも意味がある」
――何故俺達に攻撃してこないんだ?
――こちらから攻撃してもいいのか?
「攻撃してこないことに意味があり、場合によっては…こちらからの攻撃も構わないということ」

