シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「煌…やめろ」


よろよろと櫂が立上がり、俺を制しようとした。


ガン、ガンッッ!!!


俺なんか…俺なんか…!!!



「煌、やめるんだッッッ!!!」



櫂は…俺の頭を両手で挟むと…

そのまま項垂れるようにして泣いた。


「判ってる…全部判っている。


だけどその上で――」


顔を上げた櫂。


涙で濡れた漆黒の瞳は――

突き刺すように真剣で。



「俺達は、お前に生きていて欲しいと願った。

お前と共に生きたいと願った。


俺だけじゃない。

緋狭さんも…芹霞も」


そして慈愛深く。


それはまるで――

緋狭姉のように。



俺は…血が出るほど唇を噛みしめた。



「お前が笑っていけるよう…

あのことはなかったことにするよう…


だからこのことは…

お前には言わないつもりだった。


大切なのは今、昔じゃない。


誰もが、必要ないと…そう思った。


後聞きした、玲も桜も…

同じ意見だ」




「父さん…母さん…

守れなくて…すまなかった…。

もっと早く…私が来れば…」



親の…2つの頭を胸に入れて、

泣いている緋狭姉の姿が見える。



「煌…強くなろう。

こんな悲劇は…


もう、作ってはいけない。


制裁者(アリス)に…

戻るんじゃないぞ?」



櫂は泣きながら笑った。




「お前は…かけがえの無い…

俺と芹霞の幼馴染なんだから」




愛する芹霞を殺した俺に――

櫂は笑ってくれたんだ。