「どうした、坊!!!?」
その時入ってきたのは――
赤い外套を纏った…若々しい緋狭姉で。
まだ両手がある。
そしてチビの俺を見つけると…
『この、馬鹿者がッッッ!!!!』
タコ殴りにしたんだ。
泣きながら。
『心を…どうして闇に預けたッッ!!!?
どうして、どうして!!』
そして…
肉の塊と化した俺を抱きしめて。
『全ては――
私のせいだッッッ!!
うあああああああ!!!!』
慟哭したんだ。
初めて見る緋狭姉の、激しい泣き姿。
いつもいつも飄々としていて、人をからかってばかりいる緋狭姉。
怒ってばかりの怖い存在が…
泣いているんだ。
俺が…しでかした惨劇で。
『坊…泣くな。
泣くな、坊!!!』
緋狭姉は、座り込んだままの櫂に声をかけた。
『ああ、助かる。
芹霞を助けてやるとも!!!』
両目から…止めどなく流れるその涙。
『坊…強い男になれ。
全てを守れる男に。
こんな悲劇を…二度と許すな!!!』
「くっそーッッッ!!!」
俺は…叫びながら、壁に頭を打ち付けた。
何度も、何度も。
後悔なんて、そんな生やさしい言葉では片付かない。
こんな…
こんな…!!!
俺、何したよ。
何して、のほほんと生きていたよ。
ガンガンと頭を壁に打ち付けた。

