シンデレラに玻璃の星冠をⅢ




「どうした、坊!!!?」



その時入ってきたのは――

赤い外套を纏った…若々しい緋狭姉で。


まだ両手がある。


そしてチビの俺を見つけると…



『この、馬鹿者がッッッ!!!!』



タコ殴りにしたんだ。


泣きながら。



『心を…どうして闇に預けたッッ!!!?


どうして、どうして!!』



そして…

肉の塊と化した俺を抱きしめて。



『全ては――


私のせいだッッッ!!


うあああああああ!!!!』



慟哭したんだ。



初めて見る緋狭姉の、激しい泣き姿。


いつもいつも飄々としていて、人をからかってばかりいる緋狭姉。

怒ってばかりの怖い存在が…


泣いているんだ。


俺が…しでかした惨劇で。



『坊…泣くな。

泣くな、坊!!!』


緋狭姉は、座り込んだままの櫂に声をかけた。


『ああ、助かる。

芹霞を助けてやるとも!!!』



両目から…止めどなく流れるその涙。



『坊…強い男になれ。

全てを守れる男に。

こんな悲劇を…二度と許すな!!!』



「くっそーッッッ!!!」



俺は…叫びながら、壁に頭を打ち付けた。

何度も、何度も。


後悔なんて、そんな生やさしい言葉では片付かない。


こんな…

こんな…!!!


俺、何したよ。

何して、のほほんと生きていたよ。


ガンガンと頭を壁に打ち付けた。