「これ…?」
煌が取り上げたのは古い腕時計。
「見覚えあるな、この時計…ええと、写真? これ…」
そして煌は唇を噛んで、横を向いて目を伏せた。
「初給料でやったもの…こんなトコに入れておくなよ、阿呆タレ」
切なくなるような…煌の声。
そして聞こえてきたんだ、独り言のような呟きが。
「残酷だよ…お前…」
俺もまた…
共鳴するように心が痛んだ。
――あたしも、玲くんが好きです!!
どんなに…大事に思われていても、
芹霞が…自分を選んでいないのが現実。
大事にされればされる程、
その思い出が強い程、
選ばれなかったダメージは大きい。
判るんだ、俺は煌の気持ちが。
煌は――
俺に遠慮して動かないだけだ。
或いは――
8年前を引き摺っているのか。
煌だって…
いや煌ならば。
あの場面で俺以上に暴れていてもおかしくなかった。
俺の世話なんかして…
元気よく振る舞ってはいるけれど…
お前だって――
泣いているんだろ、煌…。
だからこそ…
俺は余計、煌を連れて行きたかった。
裏世界。
それがどんな過酷の道であろうとも。
俺が煌という存在を必要としているように、
煌もきっと…
俺という存在を必要としているように…そう思えたから。

