「煌…あんた…ウチに何するの!!!?」
芹霞の声が響いたと思ったら。
ドガッ。
「うっ……」
頭に…慣れた頭突き食らった。
よろめいた俺。
「何処から修理費出すのよ!!! あんたの食事から、その分差っ引くからね!!? 食事、当分…生の人参に決定!!!」
人参…。
「はあああああ!!!?」
過去…芹霞の嫌がらせの記憶が蘇り、俺は青くなった。
嫌だ。
嫌だ!!!
寝ても覚めても、あのオレンジの恐怖に怯えたくねえ!!!
あの匂いを嗅ぎたくねえ!!
と思ったのに、
「それでも食ってろ!!」
口の中に突っ込まれた。
人参だ…。
「うえっ」
吐き気してくる。
精神的なダメージ…って、
――これ?
『駄犬ー、マイナス10点』
俺…散々じゃね…?
「櫂はいいからね。悪いのはぜーんぶこのワンコだから」
「はあ!!? 何差別するよ!!?」
「櫂は病み上がりでも頑張ってるんだから。だからあたしは櫂を応援して、早く回復して貰うように…
特別に"しちゅ~"先に味見させて上げる」
それって…エイリアン入りの料理か?
「う…!!!!?」
櫂の…何とも言えぬ、恐怖のような声が聞こえた。
「…俺はもう体力回復したし。腹も減ってないし…」
「櫂。あたしはね、頑張ったの。新鮮な材料も久遠が持って来てくれたしね、さっきから凄くいい匂いしてるでしょう?」
鼻が曲りそうな、胸悪い匂いしかしてねえんだけど。
「ふふふ、じゃーん。もうお皿によそってきたんだ。櫂は見えないからね、あたしがスプーンでお口に入れて上げる」
お前…櫂には優しいよな。
口に人参突っ込む俺とは違うよな?
口尖らせて、人参握りしめた俺だけれど。
けど…ひどい匂いに頭が痛い。
これなら人参の匂いの方がマシかもしれねえ。
「はい、櫂。
"あーーーーん"」
「俺は…いらな「櫂、大好きだよ。ちゃんと食べさせて上げるからね」
"大好きだよ"
うわ…。
この芹霞…確信犯?
…とも言い切れないのが、天然ボケボケ芹霞だし。
それでも…芹霞の愛に餓えた櫂には有効な言葉であったらしく、その動揺が空気に伝わってくる。
俺が妬かなかったのは…
この酷い匂いが櫂に向けられている故に。

