賞賛され続けた過去がありながら、親父に人格否定され続ける玲。
賞賛され続ける現在がありながら、玲の人格破壊を試みる親父。
その中に居る玲は、きっと俺に繋ぐ道のために堪え忍んでいる。
そして俺の為に、全てを犠牲にしようとしている。
自分にとって最悪の形で、恋を散らせようとした玲。
俺の為に、"責任"をとろうとした玲。
多分、玲の中では――
芹霞に拒絶された自分を、
親父と久涅に大笑いされる覚悟でいたと思う。
屈辱的で惨めに恋を終わらせて、
そして姿を消そうとしていたんじゃないか。
例えその結果があったとして。
馬鹿だよ、お前。
俺が喜ぶはずないじゃないか。
そこまで猛省しているお前に、
俺が"裏切り者"と罵(ののし)ると思うか?
お前のそんな姿を見て、
俺がいい気味だと喜ぶと思うのか?
お前は、芹霞が好きで――
芹霞を守ってきたんだろ?
どうしようもなく、芹霞が好きなんだろう?
お前なりに、手に入れようと頑張ってきたんだろう?
――紫堂櫂を愛してる!!!
そんなお前を、今の芹霞は選んだ。
12年の俺との思い出よりも、玲を選んだ。
それは、現実なんだ。
だとすれば俺は。
俺は敗者として――
またお前に挑戦すればいいだけ。
8年前のように。
お前以上の存在になればいいだけだ。
生きていれば、やり直すチャンスは幾らでもある。
此の世に存在出来る奇跡に感謝しろ。
そう…緋狭さんに諭され、久遠に殴られ…俺自身が納得して結論出せるまでに、時間はかかってしまったけれど。
それは俺もお前も、同じことだろう?
苦しみがある分、希望もあるはずなんだ。
俺達は、生きているのだから。
生きている限り――
自分が納得出来るまで、あがき続けよう。
絶望に逃げるのではなく。
全てを諦めて切り捨てるのではなく。
胸を張って生きていける…
その日が来るまで。

