信じられない程のスピード、敏捷性。
巨漢で弾くのではなく…きちんと警護団の攻撃をよけて、更には手刀や足蹴にて急所を突いている。
怪力には怪力で。
百合絵さんの片手だけでも握力は凄まじかった。
驚くのはそればかりではない。
あの戦闘スタイルは――
警護団のもので。
それに驚愕している私の前で、百合絵さんは…
更には――
外気功まで使い出した。
足だ。
ドスン。
片足から拡がる衝撃波。
それは氷皇のものとは比較にはならないけれど…確実に、外気功。
外気功など…素人が簡単に使える程生優しいものではなく、だからこそ、警護団の入団時の必須条件になる。
だとすれぱ――
紫堂の警護団員…だったのか、彼女は。
給仕ではなく?
――ん…百合絵さんはワケありみたいで、…面白い人だよ?
以前、苦笑された玲様が言葉を濁していたことを思い出す。
玲様、玲様は…知っていたのですか?
桜は…夢を見ているのでしょうか。
それと同じことを呟いたのは、目が点となり…口を大きく開いたままの、芹霞さんと遠坂由香。
3人揃って夢を見ているなんて…ありえないけれど。
ありえない事態が起こっている。
結局…唖然としている私達の前で、百合絵さんは1人で…警護団を叩き潰したんだ。
全滅。
それだけではなく、そのままの勢いで、周涅の相手に参戦したんだ。
周涅対朱貴とクオンと百合絵さん。
周涅の強さは半端無いけれど、動きが微かにぶれているように思えた。
クオンが噛み付いた首の傷か?
首の…筋か何かを痛めたのかもしれない。
まだ血も止っていないようだ。
そんな周涅事情構わず、白猫が飛ぶ、朱が飛ぶ、巨漢が飛ぶ。
ああ…なんてファンタジー。

