「あ!!!? じゃあ俺も見てたのか!!?」
「ワンコ…俺に聞くなよ…」
「小猿くんにつっこまれたらお仕舞いだね(…ぼそっ)」
「久涅が黒皇だとすれば、その印を俺に見せたことを含めて、全ての行動が必然ということになる」
全て…そう全てが。
そして、俺の母親と玲の父親から生まれたかもしれない久涅が、黒皇ならば。
「気になるのは…紫堂から五皇が出たという事実。紫堂はあくまで五皇の下の格付け。元老院が紫堂に権力を許すはずがない」
「氷皇が任命したのか!!?」
「それも考えられなくはないが…では何で、それまで消息不明だった久涅を任命した?」
俺だって、久涅の存在を知ったのは最近だというのに。
「俺は私情に囚われて、久涅という男を理解しようとしてこなかった。何故俺を"模倣"と言うのか、奇妙に思うだけで。
次期当主を剥奪された久涅が、裏世界に逃げていたというのなら…久涅の痕跡を辿れば、俺は…自分のことを知れるかも知れない」
俺は…誰と誰の子供なのか。
何故…此処まで久涅と酷似しているのか。
何故…久涅が黒皇に至ったのか。
「俺と久涅のこと以外にも、五皇…TIARA…背景の何もが判っていない。俺が今知らねばならないことが、裏世界にあるのなら…。表世界に隠蔽されているものこそが…きっと俺の手札になり得る。
そう…信じている。
だからこそ…緋狭さんは、裏世界の道を開いたんだと」
暫し沈黙が続いた。
沈黙を破ったのは煌で。
「なあ…櫂。今まで暗かったし、よく見てなかったけど…お前の手のそれよ…痣…か? 鬱血か?」
煌が目を細めて、俺の手の甲を見ていて。
「…久遠に踏まれた痛みはなくなったから、鬱血ではないと思う。色も鮮やかな真紅色のままだしな」
「久遠に踏まれた!!? な、何で櫂が、そんな処を踏まれるんだ!!!? どんな状況で!!!?」
言えない…。
女装していた上に四つん這いになっていたとは。

