シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「あ!!!? じゃあ俺も見てたのか!!?」

「ワンコ…俺に聞くなよ…」

「小猿くんにつっこまれたらお仕舞いだね(…ぼそっ)」


「久涅が黒皇だとすれば、その印を俺に見せたことを含めて、全ての行動が必然ということになる」

全て…そう全てが。


そして、俺の母親と玲の父親から生まれたかもしれない久涅が、黒皇ならば。


「気になるのは…紫堂から五皇が出たという事実。紫堂はあくまで五皇の下の格付け。元老院が紫堂に権力を許すはずがない」

「氷皇が任命したのか!!?」


「それも考えられなくはないが…では何で、それまで消息不明だった久涅を任命した?」


俺だって、久涅の存在を知ったのは最近だというのに。


「俺は私情に囚われて、久涅という男を理解しようとしてこなかった。何故俺を"模倣"と言うのか、奇妙に思うだけで。

次期当主を剥奪された久涅が、裏世界に逃げていたというのなら…久涅の痕跡を辿れば、俺は…自分のことを知れるかも知れない」


俺は…誰と誰の子供なのか。

何故…此処まで久涅と酷似しているのか。

何故…久涅が黒皇に至ったのか。


「俺と久涅のこと以外にも、五皇…TIARA…背景の何もが判っていない。俺が今知らねばならないことが、裏世界にあるのなら…。表世界に隠蔽されているものこそが…きっと俺の手札になり得る。

そう…信じている。

だからこそ…緋狭さんは、裏世界の道を開いたんだと」


暫し沈黙が続いた。

沈黙を破ったのは煌で。


「なあ…櫂。今まで暗かったし、よく見てなかったけど…お前の手のそれよ…痣…か? 鬱血か?」


煌が目を細めて、俺の手の甲を見ていて。


「…久遠に踏まれた痛みはなくなったから、鬱血ではないと思う。色も鮮やかな真紅色のままだしな」


「久遠に踏まれた!!? な、何で櫂が、そんな処を踏まれるんだ!!!? どんな状況で!!!?」


言えない…。

女装していた上に四つん這いになっていたとは。